【見下ろす青を持ち帰る】トレンツ・リャド『バニアルブファールの海』シルクスクリーンのご紹介

ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。

やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。

本日も心に残る一枚をお届けします。

本日ご紹介するのは、トレンツ・リャド(Joaquín Torrents Lladó/1946-1993)のシルクスクリーン『バニアルブファールの海』(作家直筆サイン入り・25号大)です。地中海の光を描いた画家が、崖の上から松の枝ごしに見下ろした海を刷った一枚で、舞台となるバニアルブファールは画家が住んだバルデモサの隣村にあたります。本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする作品です(ご相談無料)。

この記事でわかること

  • トレンツ・リャドがどんな画家で、なぜ「地中海の光の画家」と呼ばれるのか
  • 『バニアルブファールの海』の基本情報(技法・サイズ・サイン)
  • この絵が「見下ろしている」構図であることと、その高さの意味
  • 一色に見える海の青が、刷り重ねでどう作られているのか
  • この作品に合う額装3パターンと、飾ったときの空間の変化

トレンツ・リャド『バニアルブファールの海』シルクスクリーンの全体像。崖の上から松の枝ごしに見下ろしたエメラルドグリーンの海に、小さな白い船が浮かぶ

① 本日のご紹介作品

本日ご紹介するのは、トレンツ・リャド氏の『バニアルブファールの海』という作品です。

まず目に入るのは、画面の中央を占める、濃いエメラルドグリーンの海だと思います。

ただ、この絵の本当の主語は、海ではなく『高さ』です。

画面の右には崖の岩肌が切り立ち、その上から松の枝が手前へ垂れています。

つまり私たちは波打ち際に立っているのではなく、崖の上から、枝ごしに海を見下ろしているんですね。

正直に言うと、初めてこの絵を見たとき、足の裏がすこしすくみました。

見下ろす高さがあるからこそ、あの青は、ただの色ではなく深さとして見えてきます。

今日この一枚の見方を知っていただけたら、絵の中の海は「きれいな色」ではなくなると思います。のぞき込んだ人だけが知る、距離になる。

そして、この作品には少し特別なご案内があります。

いまはお手元にご用意できる在庫がなく、当ギャラリーが「あなたの専属」としてお探しする一枚です。

すぐのお届けはお約束できませんが、ご希望を伺っておけば、市場に現れた瞬間にまっ先にご連絡できます。

ご相談は無料です。まずは、この絵の魅力を最後までご覧ください。

② 光を追いかけて、島に住みついた画家

トレンツ・リャド(Joaquín Torrents Lladó)は、1946年にスペインのバダロナに生まれた画家です。

バルセロナのサン・ジョルディ美術学校で学び、1967年の夏に初めてマヨルカ島を訪れました。

そして翌1968年、島の山あいの村バルデモサへ移り住みます。

旅行者として訪ねた島に、そのまま住所を移してしまったわけです。

1971年にはパルマ・デ・マヨルカのピカロル画廊で初の個展を開き、1977年には自ら地中海自由学校を創設して、多くの画家を育てました。

その澄んだ色の扱いから、彼は「地中海の光の画家」と呼ばれています。

1993年、47歳でパルマ・デ・マヨルカにて他界。没後、パルマのポルテリャ通りにある彼のアトリエは美術館として整えられ、現在は約120点の作品が公開されています。

島に住んだ画家が、島のどの海を選んで刷ったのか。その答えが、この一枚のタイトルに入っています。

③ この一枚について、確かなこと

まず、作品の基本情報を整理します。

  • 作家:トレンツ・リャド(Joaquín Torrents Lladó/1946-1993)
  • タイトル:バニアルブファールの海(El mar de Banyalbufar)
  • 技法:シルクスクリーン
  • サイン:作家直筆サイン有り
  • サイズ:25号大(目安)

画面の左端をご覧いただくと、刷られていない紙の白がそのまま帯のように残り、そこへ縦書きで直筆のサインが入っています。

版画のサインは、飾りではありません。

作家自身が刷り上がりを確かめ、これを自分の作品として認める、という合格印です。

基準に届かなかった刷りは、そもそも世に出ません。

だからこの手の作品の希少性は、売るための演出ではなく、作る工程そのものから生まれているんですね。

コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、海の絵は、画像で見た印象と実物の印象がいちばん離れる種類の絵なんです。

なお、制作年とエディションの総数は、お探しした個体ごとに確認のうえ、確かな情報だけをお伝えします。

④ バニアルブファール、という村の名前

・・・ただ、数字で語れるのはここまで。

ここからは、この絵のタイトルになっている村の話に迫っていきたいと思います。

バニアルブファールは、マヨルカ島の北西岸、トラムンタナ山脈が海へ落ちていく場所にある小さな村です。

名前の由来はアラビア語で、「海のそばに築かれたもの」という意味だと伝えられています。

海を眺めるための土地ではなく、海のきわに人の手で築かれた土地だ、という名前なんですね。

そしてもう一つ。バニアルブファールは、リャドが1968年に住みついたバルデモサと、そのまま境を接する隣村にあたります。

これは旅先の絶景ではなく、画家が暮らした場所の、すぐ隣の海だったということです。

言われてみると、画面の見え方が変わってくると思います。

遠くから眺めた観光の海ではなく、枝をかき分けて、いつもの場所から下をのぞき込んだときの海。

だから手前に松がかぶさり、画面の端がきちんと邪魔をしている。

飾ってみると、その効果は暮らしの中でもっとよくわかります。

朝、部屋に入って壁に目をやると、こちらの視線が自然と下へ落ちていく。

立っているのは自分の部屋なのに、一瞬だけ、崖の上で足を止めた感覚が戻ってくる。そういう絵なんです。

⑤ あの青は、何色でできているか

さらにこの絵がすごいのは、あれだけ深い海を、シルクスクリーンという版画で作り上げているところなんです。

どういうことか?というと、シルクスクリーンは、色を一色ずつ、版を替えて刷り重ねていく技法です。

ハンコを、寸分の狂いもなく何度も押し重ねていく様子を思い浮かべてもらうと近いと思います。

青い絵具をひと塗りすれば、青はすぐに作れます。

けれどそれはただの青で、水にはなりません。

この絵の海は、明るい翡翠色、青緑、濃い藍、そして白を重ねた先にできた青です。

近づいて見ると、一色に見えていた水面から、別々の色が起き上がってきます。

一度でも版がズレたら、その重なりはたちまち濁ってしまう。

その積み上げがあるから、水面を横に走る筆のかすれも、岩肌に置かれた絵具の盛り上がりも、原画そのままの呼吸で画面に残ります。

そしてもう一つ、版画ならではの設計があります。

画面の左に残された紙の白は、塗られた白ではなく、刷らずに空けた場所です。

海の面積を広く見せるためではなく、青が強くなりすぎたときに目を休ませるために、最初から空けてあるのだと私は見ています。

版画は、原画の安い代わりではありません。作家が自分の表現を余すところなく届けるために選んだ、もうひとつの完成形です。

⑥ 黄色があるから、海は冷たい

・・・と、ここまでで技法のすごさをお分かりいただけたかと思いますが、この絵の体感を決めているのは、実は海ではなく右上の黄色です。

画面の右上には、金色に色づいた木の梢が大きく広がっています。

その下に、濃い緑の松が一本だけ立っている。

色の関係でいえば、黄と青は正反対の位置にある色です。

だから梢が明るいほど、海の青は温度を下げて、ひんやりと見えてきます。

朝の光の中では、黄がレモンのように軽くなり、海は翡翠に近いところまで明るくなります。

夕方、照明を落とすと、今度は梢が蜂蜜の色に沈んで、海だけが深い藍のまま残る。

一日の中で、水温が変わっていくようなんです。

そして、海の真ん中にぽつんと浮かぶ、小さな白い船。

これがあるおかげで、青は「面」ではなく「広さ」になります。

船の大きさから、見下ろしている高さが逆算できてしまうんですね。

見ていると、潮の匂いと、梢を鳴らす乾いた風の音まで、不思議と戻ってきます。

高さがあるのに、怖くない。それは、手前の松と白い船が、目の置きどころを用意してくれているからだと思います。

⑦ 2,000段の石積みが作った、この高さ

もう少しだけ、この村の話をさせてください。

10世紀にこの地へ入った人々は、切り立った斜面に石を積み、およそ2,000段とも言われる段々畑を作りました。

水を引くための水路や水槽も、その時代の技術が今なお使われています。

かつてはマルバシアという葡萄の産地として知られ、その甘口のワインは島の外まで評判になりました。

つまりこの崖は、見晴らしのために残された自然ではなく、人が足場を刻み続けてきた斜面です。

絵の中で私たちが立っている「高いところ」も、本来はそうやって作られた場所だということになります。

そう考えると、画面の右で崖の岩肌があれほど厚く塗られている理由が、少し見えてくる気がします。

この絵の主役が海だけなら、岸は薄く流しても成立したはずなんです。

⑧ この絵には、どんな額が合う?

ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。

余白を壁へつなぐ『ホワイト額装』

まずは定番の、オフホワイトの額装です。

この作品は、画面の左に紙の白がそのまま帯として残っています。

そこへ明るい白の額を回すと、余白と額が一続きになって、海の部分だけが壁に空いた窓のように見えてきます。

おすすめは、家族が集まるリビングです。朝の陽が入る時間には、白い枠が光をひろって、翡翠色の海がいっそう軽やかにほどけます。

夜、あかりを落とすと、白い枠だけが静かに残り、海は深い藍に沈んで部屋の奥行きになります。

壁の前で足を止めたお子さんが、「この船、こんなに小さいんだね」と指をさす。そこから、どのくらいの高さから見ているんだろうという話が始まる。そんな会話が生まれる一枚です。

『ホワイト額装』×家族のリビング設置イメージ。白い枠が紙の余白と連なり海の部分が窓のように見える

海を冷たくする『テラコッタ額装』

海の絵に、土の色の額?と思われるかもしれませんが、この絵にはあえて、焼いた陶器のような赤茶を合わせる案もおすすめしたいんです。

理由は、画面の右に広がる岩肌にあります。

崖の色をそのまま額へ延長すると、絵の外側まで岸が続いているように見えて、海が「遠く」へ下がります。

そうなると、青はさらに冷たく、深くなる。

石積みの段々畑が作られた土地の絵ですから、土の色は、この海と同じ場所から来た色でもあります。

これが似合うのは、実は、静かなカフェや待合の空間です。

昼は自然光の下で額と岩肌が同じ色に溶け、夜は間接照明の中で、海だけが青く残ります。

席についたお客様が、ふと壁の一枚に目を留めて、しばらく静かになる。そんな「海風の吹く席」を作ってくれる組み合わせです。

『テラコッタ額装』×静かなカフェ設置イメージ。赤茶の額が画面右の岩肌を外へ延長し海を遠くへ下げる

金の梢を四辺へ回す『アンティークゴールド額装』

3つめは、くすんだ金色の、アンティークゴールド額装です。

この額は、右上の梢にだけある金を拾い上げて、絵の四辺へ回してくれます。

金が外周に回ることで、梢の黄は「画面の一部の明るさ」から「この絵全体の光」へと格上げされます。

おすすめは、応接室や書斎です。

コレクターとして自宅の壁に絵を掛けてみて実感したことがあります。届いた日にいちばん長く眺めてしまうのは、遠目ではなく、顔を近づけたときの色なんですね。

遠目には、一色の海。近づくと、翡翠も藍も白も立ち上がってくる。

来客がソファに腰を下ろし、しばらくしてから立ち上がって絵に近づいていく。言葉より先に、部屋の静かさが伝わる。そんな一枚になります。

『アンティークゴールド額装』×応接室・書斎設置イメージ。くすんだ金の額が右上の梢の金を四辺へ回す

⑨ まとめ

見下ろす高さがあるからこそ、あの青は深さとして見えてきます。

その深さは、飾った人の暮らしの中で、朝と夜とでちがう顔を見せてくれます。

それは、買った人だけが知る顔です。

そして、この『バニアルブファールの海』は、いまはどこかで、次の持ち主を静かに待っている一枚です。

名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。

だからこそ、先に「私はこの絵を待っています」と教えておいていただくことで、当ギャラリーはその瞬間にまっ先にご連絡できます。

この作品を、あなたのために専属でお探しします(ご相談は無料)

やまアートギャラリーでこの作品をリクエストする

すぐのご用意はお約束できませんが、あなたの一声があって初めて、この一枚は「あの方のための海だ」と探し当てることができます。作品のご不明点や額装のご相談も、お気軽にお問い合わせください。しつこい営業は、いたしません。

よくあるご質問

この作品は本物ですか?

はい、作家トレンツ・リャドの直筆サインが入った本物のシルクスクリーンです。サインは画面左の余白に縦書きで入っています。お探しの上でお届けする際は、状態を確認のうえご案内いたします。

すぐに購入できますか?

いいえ、本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする「お探しリクエスト」の作品です。ご希望を伺ってから国内外のネットワークでお探しし、見つかり次第、価格とともにご連絡します。数ヶ月かかることも、見つからない場合もございますが、ご相談・調査は無料です。

見つかるまで、どのくらいかかりますか?

正直に申し上げると、時期はお約束できません。名品は市場にふいに、たいてい一度きり現れます。先にご希望を伺っておくことで、その一点が現れた瞬間にまっ先に確保してご連絡できます。無理なお取引はおすすめいたしません。

明るい海の絵は、部屋が子どもっぽくなりませんか?

いいえ、この作品はむしろ空間を静かに締めます。海そのものは鮮やかですが、画面の右半分を占めるのは崖の岩肌と濃い緑の松で、色の重心が下と右に置かれているためです。白い壁の明るい部屋では翡翠色が軽やかに、照明を落とした夜は海が深い藍へ沈んで奥行きが出ます。壁面に余白をとって一枚で掛けるのが、この絵のいちばん効く飾り方です。

額装は変更できますか?

はい、額装のご相談を承っております。この記事でご紹介した3パターンをはじめ、お部屋の雰囲気に合わせてご提案しますので、リクエストの際にお気軽にお申し付けください。

送料はかかりますか?

お作品が見つかりご成約となった際に、あらためて送料を含めた総額をご案内いたします。梱包・配送にも十分配慮してお届けします。

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