【歌が咲いた跡と暮らす】トム・エバハート『Sing It Sister Day』ミクスドメディアのご紹介

ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。

やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。

本日も心に残る一枚をお届けします。

『Sing It Sister Day』は、チャールズ・シュルツから世界でただ一人ピーナッツを自身の絵画作品として描くことを認められた画家トム・エバハートによる、世界限定25部のミクスドメディアです。2025年の制作で、夜を描いた『Sing It Sister Night』と対をなす昼の一枚。画面の半分ほどを占める桃色の面に白い粒が浮かび、右下のスヌーピーが同じかたちの花をひとつ抱えています。直筆サイン・エディションナンバー・本物証明書が付属し、新品額装にてお届けします。

この記事でわかること

  • トム・エバハートがシュルツ公認で唯一ピーナッツを描ける画家になるまでの経緯(1970年代の経歴と1980年の出会い)
  • タイトル『Sing it, sister』が意味するものと、夜の対作『Sing It Sister Night』との関係
  • 海外ギャラリーで『Sing It Sister, Morning』と表記される理由
  • スヌーピーが抱える花と、桃色に浮かぶ白い粒が同じかたちである理由
  • 画面の半分近くを白いまま残した判断と、耳付きのアーカイバルラグ紙との呼応
  • 一色に見えて実は二段になっている桃色と、朝と夕方で入れ替わる表情
  • この作品に映えるおすすめ額装3パターンと、空間に飾ったイメージ
  • 世界限定25部という希少性と、付属する証明書

トム・エバハート『Sing It Sister Day』ミクスドメディアの全体像

本日のご紹介作品

本日ご紹介する作品は、トム・エバハート氏の『Sing It Sister Day』という作品です。

機嫌よく鼻歌をうたった日の、うたい終わったあとのことを思い出してみてください。

音は消えているのに、部屋の空気だけがまだ少し明るいままなんですよね。

この絵は、その残ったもののほうを描いています。

正直に言うと、私がこの絵を初めて見たとき、目が行ったのは中央のスヌーピーではありませんでした。

桃色の面に散っている白い粒です。

よく見ると、ひとつひとつに細い線が付いていて、茎のように見えるんです。

散った跡ではなく、咲いている途中に見えた。

『歌が咲いた跡』という言葉が浮かんだのは、そのときでした。

今日この一枚の見方を知っていただくと、強い色の絵を選ぶときの基準が変わると思います。

色の強さではなく、色の周りに残した余白の量で選ぶ、ということです。

この作品は、トム・エバハートのミクスドメディア作品を多数取り扱うネットショップ『やまアートギャラリー』でご紹介しています。

▶ この作品の詳細・価格を見る(やまアートギャラリー)

シュルツの線を託された、ただ一人の画家

トム・エバハート氏は1952年5月21日、ワシントンD.C.に生まれた画家です。

1970年にイェール大学の芸術建築学部へ進み、1974年に同校へ戻って1976年に大学院を修了しました。

その後はパリのオランジュリー美術館で研究を続けています。

漫画の側からではなく、正統な絵画教育の側から来た人なんですね。

1980年、氏はスヌーピーの生みの親であるチャールズ・シュルツ氏と出会います。

このとき氏を惹きつけたのは、キャラクターの可愛さではありませんでした。

シュルツ氏が引く黒いインクの線の、建築のような構造そのものだったと語られています。

そして氏は、世界でただ一人、ピーナッツのキャラクターを自身の絵画作品として描くことを公式に認められた画家になりました。

だから氏の絵の中のスヌーピーは、借りてきたキャラクターではありません。

シュルツ氏から線を託された人間が、自分の画面に住まわせているスヌーピーなんです。

数字で見る『Sing It Sister Day』

まず、この作品の基本情報は以下のとおりです。

  • 作家:トム・エバハート(Tom Everhart)
  • 作品名:Sing It Sister Day
  • 制作年:2025年
  • 技法:ミクスドメディア
  • エディション:世界限定25部
  • サイズ:縦79cm × 横53cm(額装済)
  • 用紙:耳付きのアーカイバルラグ紙
  • 仕様:下余白に作家の直筆サインとエディションナンバー、本物証明書が付属
  • 状態:海外の提携ギャラリーから直接取り寄せた新品未使用

25部という数字は、版画の世界ではかなり小さいほうです。

そのうち日本に入ってくる枚数を考えると、同じ構図を店頭で見比べられる機会は、まず訪れません。

コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、この規模のエディションは「迷ってから戻る」ができないんですよね。

・・・ただ、数字で語れるのはここまで。

ここからは、この桃色がどこから来たのかという話に入っていきます。

『Sing it, sister』という合いの手

タイトルの『Sing it, sister』というのは、歌っている人に向かって投げる合いの手のような英語の言い回しになります。

日本語にすれば「いいぞ、そのまま歌って」に近い、拍手の代わりの一声です。

つまりこのシリーズが題にしているのは、歌そのものではありません。

歌っている誰かと、それを聴いて声を返す誰かの、あいだにあるものなんですね。

そのうえで本作は、昼のほうを引き受けています。

同じ2025年に発表された夜の一枚『Sing It Sister Night』と対をなす関係です。

ちなみに海外のギャラリーでは、この昼の一枚を『Sing It Sister, Morning』の表記で扱っている例が多く見られます。

昼と朝、どちらの言い方でも指しているのはこの桃色の一枚です。

さて、画面を見ていきましょう。

右下にスヌーピーがいます。

背を少しこちらへ向けて座り、胸のあたりで花をひとつ抱えています。

全身が線だけで描かれていて、体の内側は塗られずに紙の白のまま残されています。

その背後に立ち上がっているのが、画面の半分ほどを占める桃色の面です。

そして面のあちこちに、白い粒が浮かんでいます。

ここが、この作品のいちばん面白いところだと感じています。

スヌーピーが抱えている花と、桃色の中に浮かんでいる白い粒は、同じかたちをしているんです。

手の中に一輪、空気の中にいくつも。

歌を聴いた誰かが花を返したようにも見えるし、歌っていたら周りが咲いてしまったようにも見える。

どちらで見てもいいように作られていて、見る日の気分で入れ替わります。

色を置かなかった場所が効いている

さらにすごいのは、この桃色が画面いっぱいに塗られていないところなんです。

紙の右側と下側には、何も置かれていない白がそのまま残されています。

桃色の面の輪郭も、定規で引いた四角ではありません。

手でちぎったような、ゆらいだ縁をしています。

ミクスドメディアというのは、性格の違う工程を一枚の紙の上に積み重ねていく技法です。

これがどのくらい神経を使うか?というと、色を一度置いたら、消して戻すという選択肢が無いと考えていただくと近いかもしれません。

紙の白は、塗り残した場所ではなく、最初から取り分けておいた場所なんですね。

これだけ強い桃色を使いながら、面積の半分近くを空けておく。

その判断が、この一枚の品の良さを作っています。

実際、本作は耳付きのアーカイバルラグ紙に刷られています。

紙そのものの縁も、ちぎったような手触りの耳になっている。

画面の中の桃色の縁と、紙の物理的な縁が、同じリズムで呼応しているわけです。

そして白い粒のひとつひとつには、細い線が尾のように伸びています。

この線があるかないかで、粒の意味が変わります。

線が無ければ、ただの水玉模様です。

線があるから、咲いているもの、あるいは飛んでいったものとして目に入ってくる。

工程を何度も重ねた画面の上に、最後にスヌーピーの輪郭が一本で通っています。

迷い線がありません。

重ねに重ねた背景の上へ、一発勝負の線を置いている。

途中で一枚でもずれれば、花の位置とスヌーピーの輪郭の関係が狂います。

そうなった紙は、もう世に出ません。

だから下余白のサインは、装飾ではなく作者の合格印なんですよね。

世界限定25部という数字も、売るために決めた数ではないと私は見ています。

この工程を通り抜けられた紙が、それだけだったという話です。

・・・と、ここまでで作り方の話をしてきましたが、この一枚の本当の力は色のほうにあります。

桃色は、見た目より温度が高い

この作品の色は、ほとんど桃色と白の二色だけでできています。

ただ、桃色がひとつではありません。

左の塊と右上の塊は、蛍光に近い濃いマゼンタ。

そのあいだを縦に通っている帯だけが、一段薄い桃色になっています。

光がそこだけ透けたように見える、淡いほうの桃色です。

同じ面の中で濃さが二段になっていて、その境目が画面の真ん中を縦に走っています。

だから一色のベタ塗りに見えるのに、目が勝手に奥行きを拾うんです。

この桃色は、見た目より温度が高く感じられます。

手をかざしたら温かいんじゃないか、という感じ。

視覚の話をしているのに、皮膚のほうが先に反応してしまう色なんですね。

そして白です。

スヌーピーの体は、画面の中でほとんど唯一、塗られていない白のまま残されています。

強い色の中を動いていた目が、白にたどり着いた瞬間に止まる。

止まった先に、花を抱えて座っている体がある。

色の勢いと、その中心の静けさが、同じ紙の上に両立しています。

この絵は、光の量で表情が変わります。

朝のカーテンを開けた直後に見ると、桃色が白く冴えて、輪郭が硬くなります。

粒の白と紙の白が近づくので、画面全体が軽くなる時間帯です。

ところが夕方、照明を落として見ると、桃色が朱のほうへ寄ってビロードのように厚くなる。

代わりに白い粒が前へ出てきて、桃色の中で小さく灯り始めます。

同じ一枚が、朝は軽やかに、夜は濃厚に鳴る。

音量のつまみを誰かが回しているような感じがして、私はこの夕方の時間がいちばん好きです。

以前、金沢の尾山神社を訪れたときのことを思い出します。

すぐ周りに公道も建物もあるのに、中へ入った瞬間、緑と水の音だけの空間に切り替わりました。

新幹線の中ではずっと考えごとをしていたのに、そこでは自然に没入できたんです。

スイッチが切り替わる場所というのは、そう多くありません。

絵画は、その切り替えのできる場所を、自宅の壁に置ける数少ない方法だと感じています。

この桃色の前に立つ数十秒が、その切り替えになる日があると思うんです。

この絵にはどんな額が合う?

ここからはこの作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。

色を家に馴染ませる『ナチュラル木額装』

まずはご家族の集まるリビングに、明るい木目で。

これだけ強い桃色だと、家族の集まる部屋には派手すぎるのでは?と心配される方が多いのですが、木の額を回すと印象が変わります。

木目の黄みが桃色の赤みと手をつないで、絵の色が「作品の色」から「部屋の色」へ降りてくるんですね。

床材やダイニングテーブルと同じ系統の色が額に入るだけで、壁の一枚が家具の一部のように収まります。

桃色の鮮やかさは落ちません。

落ちるのは、浮いてしまう感じのほうです。

朝、カーテンを開けた直後がいちばん気持ちのいい時間です。

外光で木目が白っぽく起きて、内側の桃色が冴える。

夕方になると今度は木目が飴色に沈んで、桃色のビロード感と同じ重さになります。

以前、妻と自宅用の一枚を選んだとき、届く前から二人でどこに掛けるかの話が止まりませんでした。

いま生後半年だった息子は、飾ったスヌーピーの絵に手を伸ばしてニコニコ笑います。

子どもが最初に指をさす絵が、こういう明るい色の一枚だというのは、悪くないと思うんです。

『ナチュラル木額装』×リビング設置イメージ

桃色を立たせる『抹茶色額装』

2案目は玄関に、くすんだ緑で。

桃色の絵に緑の額?と思われるかもしれませんが、この2色は色相環で正面から向かい合う関係にあります。

正面から向かい合う色を隣に置くと、お互いの純度が上がって見えるんですね。

抹茶色は、その緑の中でもっとも彩度を落とした、和の落ち着きがある緑です。

鮮やかな緑だと喧嘩になりますが、抹茶色なら桃色だけが前に出ます。

額は一歩下がって、色の台座になってくれる。

玄関を選んだ理由は、滞在時間の短さです。

玄関は、家の中でいちばん短く、いちばん回数多く通る場所なんですよね。

帰ってきてドアを開けた3秒で、桃色が目に飛び込んでくる。

その3秒が毎日あると、家に帰るという行為の気分がわずかに変わります。

来客の方の第一声が「わっ、明るい」から始まるのも、この置き方の役得です。

朝の出がけは外光で抹茶色が明るく見え、夜は玄関灯の下で緑が沈んで桃色だけが灯ります。

『抹茶色額装』×玄関設置イメージ

光を集める『チャコール額装』

3案目は、カフェやバーのある商業空間に、炭色で。

人が入れ替わる空間では、絵は遠くから、しかも落とした照明の下で見られます。

その条件で桃色がどう振る舞うかというと、周りが暗いほど自分から光り出すんです。

チャコールは真っ黒ではなく、少し柔らかさのある炭の色です。

黒だと額のほうが主張して重たくなりますが、炭色は照明をいったん吸って、内側の桃色だけを浮かせてくれます。

壁から切り抜かれたように桃色が立つ、という見え方になります。

昼の営業時間は、窓からの光で炭色が灰に寄って、画面の白い余白と静かにつながります。

夜にスポットを落とすと、額が闇に溶けて、桃色と白い粒だけが宙に残る。

一枚で二つの見え方を持っているので、昼夜で表情を変えたいお店と相性がいいと感じています。

以前、お客様から、待ちに待った絵をご主人の帰りを待って一緒に飾りました、というお便りをいただいたことがあります。

忙しい毎日の疲れが吹っ飛びました、と書いてくださっていました。

カウンターの奥にこの一枚があれば、お客様が「あれはスヌーピーですか」と話しかけてくださる。

会話の入口になる絵です。

『チャコール額装』×カフェ設置イメージ

まとめ

『Sing It Sister Day』は、強い絵です。

けれどこの強さは、部屋をねじ伏せるための強さではありませんでした。

桃色のとなりに、同じくらいの白を残しておいたから成立している強さです。

機嫌よく鼻歌をうたい終わったあと、音は消えたのに空気だけが明るいままの、あの感じ。

『歌が咲いた跡』という時間を、25部だけ紙の上に留めた一枚になります。

画像でご覧いただいている今の印象と、実物を壁に掛けてから数日後の印象は、おそらく違います。

一色に見えていた桃色が、真ん中で二段に分かれていることに気づく。

白い粒のひとつひとつに、細い茎のような線が付いていることに気づく。

それは、買った人だけが知る顔です。

世界で25部、この桃色と同じ紙はもう増えません。

次にこの一枚が市場に現れるのがいつになるかは、誰にも分かりません。

今この瞬間に出会えたという事実を、ご自身の暮らしの中の確かな時間に変えていただければ嬉しく思います。

この作品の詳細・ご購入はこちらから

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作品のご不明点や額装のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

この作品は本物ですか?

作家トム・エバハート本人の直筆サインが入った本物です。下余白に直筆サインとエディションナンバーが入り、本物証明書が付属します。海外の提携ギャラリーから直接取り寄せた、まだ一度もコレクターの手に渡っていない新品未使用の状態でお届けします。

額装は変更できますか?

はい、額装のご相談を承っております。本記事では『ナチュラル木額装』『抹茶色額装』『チャコール額装』の3案をご提案していますが、お部屋の雰囲気に合わせた額装をご提案しますのでお気軽にお問い合わせください。

送料はかかりますか?

送料は無料です。表示の販売価格がそのままお支払金額となります。海外からのお取り寄せのため、お支払い確認後4〜5週間程度でのご発送となります。

海外では『Sing It Sister, Morning』と呼ばれていますが、同じ作品ですか?

同じ一枚を指しています。海外のギャラリーでは昼の作品を『Sing It Sister, Morning』の表記で扱う例が多く見られ、当店は仕入れ表記にあわせて『Sing It Sister Day』としてご案内しています。いずれも2025年発表の、桃色の面にスヌーピーが花を抱えるミクスドメディアです。

この桃色は、落ち着いた部屋には強すぎませんか?

額装の色で印象を調整できますので、強すぎて困るケースは多くありません。本作は桃色が画面いっぱいには塗られておらず、紙の右側と下側に白がそのまま残されているため、面積としては見た目ほど色が占めていないからです。木目の額なら部屋の色に馴染み、抹茶色の額なら桃色だけが前に出て、炭色の額なら落とした照明の下で桃色が浮かび上がります。

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