【静けさを、壁に招く】星襄一『大樹早春』木版画のご紹介
ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。
やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。
本日も心に残る一枚をお届けします。
この記事でわかること
- 星襄一が『樹の木版画家』と呼ばれた理由
- 『大樹早春』が描く「芽吹く前の静けさ」という一瞬
- 木版画の手わざと、緑から金へ移ろう色の秘密
- この作品に合う額装3パターンと、空間での見え方
- 世界限定99部・金箔仕様という希少性

本日のご紹介作品
本日ご紹介する作品は、星襄一氏の『大樹早春』という木版画です。
まだ芽吹いていない大きな樹が、金色の光の中に、ただ静かに立っています。
葉はありません。
音もありません。
けれど、枝の一本一本に、これから始まる季節の気配が、確かに満ちている。
私はこれを、『芽吹く前の静けさ』と呼んでいます。
正直に言うと、初めてこの一枚を見たとき、しばらく前から動けなくなりました。
賑やかな絵ではないんです。
でも、部屋の空気そのものを、すっと入れ替えてしまう。
今日この作品を知っていただけたら、静けさもまた贅沢なのだという感覚が、少し変わると思います。
樹だけを彫りつづけた版画家
星襄一は、1913年に新潟の小出町、いまの魚沼市に生まれた木版画家です。
はじめから絵の道にいた人ではありません。
台湾で教員を務め、終戦後に帰郷し、42歳のときに武蔵野美術学校を卒業しました。
木版画は、ほとんど独学で身につけたと伝えられています。
やがて彼が彫りつづけた主題が、樹でした。
星、雪、そして樹。その一貫した眼差しから、いつしか『樹の木版画家』と呼ばれるようになります。
国画会や日本版画協会の会員として認められ、東京やサンパウロの国際版画ビエンナーレにも作品を送り出しました。
いまも郷里の新潟には、その名を冠した『星と森の詩美術館』が残されています。
一人の画家が、生涯をかけて樹と向き合った。そのまなざしの結晶が、この『大樹早春』です。
数字で見る『大樹早春』
- 作家:星襄一(1913〜1979)
- 作品名:大樹早春
- 制作年:1977年
- 技法:木版画(金箔仕様)
- エディション:世界限定99部
- サイズ:縦101.5cm × 横79.5cm(額装済)
- 付属:作品に限定番号と直筆サイン、裏面に証明シール
ここで一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。
星襄一の『大樹早春』は、限定部数の入っていない同じ絵柄でしたら、日本の市場でも時折見かけます。
けれど、この限定99部の金箔仕様は、まったく別の一枚です。10年に一度、出会えるかどうか。
コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、この手の一枚は、迷った時点で負けなんですよね。
数で語れるのは、ここまでです。
早春という、いちばん静かな季節
ここからは、この絵が抱えている『時間』の話をさせてください。
大樹早春という題は、大きな樹の、早春の姿という意味です。
早春は、一年でいちばん静かな季節かもしれません。冬はもう終わったのに、春はまだ来ていない。
葉はなく、花もなく、樹は骨格だけで立っています。でも、枯れているわけではないんです。
幹の内側では、もう水が動きはじめている。
星襄一は、その『まだ何も起きていないのに、すべてが始まろうとしている』一瞬を、金色の地に閉じ込めました。
想像してみてください。朝、コーヒーを入れて、ふと壁のこの樹を見る。
賑やかな一日が始まる前の、まだ誰も声を出していない時間。その静けさが、そのまま部屋の中に立ち上がってくる。
そういう絵なんです。
一色ずつ、樹を立ち上げていく
さらに面白いのは、この『静けさ』が、ちゃんと手わざで作られているところなんです。
どういうことか、というと。木版画は、写真のように一発で刷る絵ではありません。
版木を彫り、色ごとに版を分け、紙を重ねて、一枚ずつ手で摺っていきます。色の数だけ、版がある。
地の緑を置き、金を差し、樹の白い枝を残していく。一回でもズレたら、枝の繊細さは台無しになります。
その気の遠くなる工程を、根気よく積み重ねている。だから、この樹の枝は、印刷では出せない奥行きを持っているんです。
近づくと、一本ずつ手で置かれた線の呼吸が見えてきます。
緑から金へ、時間が動く
そして、色です。この絵の地は、緑から金へと、静かに移ろっていきます。
朝の光で見ると、緑がひんやりと澄んで、樹が銀色に浮かびます。
夕方、部屋の明かりを落とすと、今度は金が奥からじんわり温まってくる。
一枚の絵の中に、一日ぶんの時間が流れているんです。
不思議なもので、この絵の前に立つと、色を『聴いている』ような感覚になります。緑は遠くの風の音、金は低くやわらかい持続音。
そして、樹の枝の白。この白があるから、緑と金の中で、目がふっと呼吸の場所を見つけられる。
賑やかさで押してくるのではなく、静けさで満たしてくる。見終わったあとに、部屋がひとつ静かになる。そういう色の設計なんです。
樹という、変わらないもの
星襄一が生涯かけて樹を彫りつづけたのには、理由があるように感じられます。
樹は、人よりも長く生き、季節ごとに姿を変えながら、同じ場所に立ちつづけます。
慌ただしく変わっていく暮らしの中で、変わらずそこにあるもの。早春の大樹は、その『変わらなさ』の象徴のようにも見えてきます。
飾る人の一日がどれだけ動いても、この樹だけは、静かに立っている。
この絵には、どんな額が合う?
ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。
額装の色で、同じ樹がまるで違う表情を見せます。マットはいずれもオフホワイトで統一し、額縁の色だけを変えていきます。
光を通す『ホワイト額装』
まずは定番から。明るいリビングや玄関に合わせたい一枚です。
ホワイトの額は、金地の輝きを邪魔せず、絵の中の光をそのまま部屋へ通してくれます。
朝は樹の銀色が涼やかに立ち、昼は金がやわらかく広がる。家族が玄関を通るたびに、自然と足が止まって、今日はよく晴れたね、と一言こぼれる。そんな軽やかな静けさを連れてくる額装です。

金の余韻を伸ばす『アンティークゴールド額装』
次は、この作品専用ともいえる変化球です。
金の絵に金の額?と思われるかもしれませんが、これが驚くほど品よく決まります。
アンティークゴールドは、輝きを抑えた古びた金なので、絵の中の金箔と喧嘩せず、むしろ余韻を外へ伸ばしてくれます。応接室や書斎の、少し照明を落とした空間で本領を発揮します。
夜、間接照明の下で見ると、額と絵の境目が溶けて、樹だけが金の靄の中に浮かび上がる。
実は私自身、この金の額に合わせた一枚を暮らしの中に置いていて、来客がいちばん長く前に立つのが、決まってこの絵なんです。

森を招く『フォレストグリーン額装』
最後は、まったく別の角度からの提案です。
深い森の緑をまとった額は、絵の地の緑と響き合い、樹を本物の森の一部のように見せてくれます。
おすすめしたいのは、カフェやサロンのような、人が長く滞在する商業空間です。
窓辺にこの一枚を掛けておくと、席についたお客様が、ふと目を上げてそこで静かに息をつく。コーヒーの香りと、早春の樹。その組み合わせが、その店だけの落ち着いた時間を作ってくれます。

まとめ
『大樹早春』は、賑やかさではなく、静けさで部屋を満たす一枚です。
芽吹く前の、あのいちばん静かな一瞬。それを金色の光の中に閉じ込めた木版画です。
そして、それは、買った人だけが知る顔でもあります。
世界にわずか99部、金箔仕様のこの一枚は、10年に一度出会えるかどうか。売り切れてしまえば、二度と巡り会えないかもしれません。
失われたら二度と戻らないこの静けさを、あなたの暮らしの確かな空気に変えてください。
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よくあるご質問
この作品は本物ですか?
はい、本物です。作品には作者の直筆サインと限定番号が入り、裏面には証明シールが備わっています。当店はこうした版画作品を専門に取り扱っており、真作をお届けしています。
額装は変更できますか?
はい、額装のご相談を承っております。本記事でもホワイト・アンティークゴールド・フォレストグリーンの3案をご紹介していますが、お部屋の雰囲気に合わせたご提案も可能です。お気軽にお問い合わせください。
送料はかかりますか?
送料は無料です。販売価格がそのままお支払金額となります。ご希望の場合は領収書の発行も承ります。
限定99部の金箔仕様と、限定のない同じ絵柄では何が違いますか?
限定部数のない同絵柄は日本の市場でも時折見かけますが、この限定99部の金箔仕様は10年に一度出会えるかどうかの希少なエディションです。限定番号・直筆サイン・証明シールが付属する点も、コレクションとしての価値を支えています。
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