【音の消えた朝を飾る】ヒロ・ヤマガタ『日本のエッセンス 富士山』シルクスクリーンのご紹介

ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。

やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。

本日も心に残る一枚をお届けします。

本日ご紹介するのは、ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/1948- )のシルクスクリーン『日本のエッセンス 富士山』(エディション149/300・30.5×40.7cm)です。雪をかぶった富士と凍りついた木々を濃いコバルトの空の下に置き、その前に集まる小さな人々だけに体温のある色を与えた一枚。本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする作品です(ご相談無料)。

この記事でわかること

  • ヒロ・ヤマガタがどんな画家で、なぜ世界の祝祭の公式ポスターを任されてきたのか
  • 『日本のエッセンス 富士山』の基本情報(技法・エディション・サイズ)
  • 富士を主役にせず「雪が降ったあとの朝の空気」を描いた構図の意味
  • 細い枝の白を白のまま残す、シルクスクリーンの刷り重ねの仕組み
  • この作品に合う額装3パターンと、飾ったときの空間の変化

ヒロ・ヤマガタ『日本のエッセンス 富士山』シルクスクリーンの全体像。濃いコバルトの空の下に雪の富士が立ち、手前の雪原に色とりどりの上着を着た人々が集まる

① 本日のご紹介作品

本日ご紹介するのは、ヒロ・ヤマガタ氏の『日本のエッセンス 富士山』という作品です。

雪をかぶった富士が正面に立ち、その手前に、霜をまとった木々が白い枝を広げています。

見ていると、あたりの音がぜんぶ雪に吸い取られてしまったような、静けさに包まれるんですね。

正直に言うと、初めてこの絵を見たとき、思わず息を止めていました。

きれいだと感じるより先に、部屋のほうが静かになった気がしたんです。

そして、その静けさの中に、赤や黄色の上着を着た小さな人たちが、ぽつんと集まっている。

今日この一枚の見方を知っていただけたら、なぜこの絵の前で人が黙ってしまうのかが、きっと腑に落ちると思います。

そして、この作品には少し特別なご案内があります。

いまはお手元にご用意できる在庫がなく、当ギャラリーが「あなたの専属」としてお探しする一枚です。

すぐのお届けはお約束できませんが、ご希望を伺っておけば、市場に現れた瞬間にまっ先にご連絡できます。

ご相談は無料です。まずは、この絵の魅力を最後までご覧ください。

② 祝祭を描き続けた画家が、雪の前で筆を止めた

ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata)は、1948年に滋賀県で生まれた画家です。

高校を卒業した1967年、高校の美術教師であった日本画家の椙村睦親に師事しました。

1972年に渡欧し、翌1973年にはエコール・デ・ボザール(パリ国立美術学校)の聴講生となります。

1974年にサロン・ドートンヌやフランス画家協会展へ出品して名を知られ、1978年にロサンゼルスへ移住しました。

1983年には人類飛行200周年記念の祝典ポスターに作品『エアーショー』が選ばれます。

1984年のロサンゼルス・オリンピック観光誘致キャンペーン、1986年の自由の女神100周年記念事業団。公式ポスターの原画依頼が、続けて舞い込みました。

2000年には、グラミー財団からグラミー賞の公式アーティストに任命されています。

世界が何かを祝うたび、その年の顔として選ばれてきた画家、ということですね。

その画家が、自分の生まれた国へ視線を戻して描いた連作が、この「日本のエッセンス」です。

③ 数字で見る『日本のエッセンス 富士山』

まず、この作品の基本情報を整理します。

  • 作家:ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/1948- )
  • タイトル:日本のエッセンス 富士山
  • 技法:シルクスクリーン
  • エディション:149/300
  • サイズ:縦30.5cm × 横40.7cm

300部のうちの149番。ちょうど半分あたりの番号で、残りの299枚は、いま世界中のどこかの壁に掛かっています。

コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、この規模の作品は、探していると声を上げている人のところにだけ順番が回ってくるんですよね。

④ 雪が音を吸った朝、色を持っているのは人だけ

・・・ただ、数字で語れるのはここまで。

ここからは、この一枚がどんな絵なのか、その中身の話に迫っていきたいと思います。

富士を描いた絵は、数え切れないほどあります。

その多くは、山を主役に据えて、堂々と、めでたく描かれてきました。

けれどヤマガタがこの絵で描いているのは、山そのものというより、雪が降ったあとの朝の「空気」なんです。

画面の上半分は、混じり気のない濃いコバルトの空です。

その下に雪をまとった富士が立ち、手前には、枝の一本一本まで白く凍りついた木々が広がっています。

そして左下に、ようやく人が出てきます。

赤、黄、緑、青。色とりどりの上着を着た十数人が、肩を寄せるようにして、富士のほうを向いて立っている。

三脚を立てている人がいて、犬を連れた人がいて、子どもらしき小さな影もある。

この絵の中で、体温のある色を持っているのは、この人たちだけなんですね。

一面の白と青の中に、小指の先ほどの色の粒がぽつぽつと灯っている。

飾ってみると、その効果は暮らしの中でもっとよくわかります。

たとえば冬の朝、暖房をつける前の冷えた部屋でこの絵の前を通ると、部屋の温度が絵の中とつながったように感じられる。

そして、あの小さな人の輪を見つけると、なぜか少しほっとする。そういう絵なんです。

⑤ 白を、白のまま残す

さらにこの絵がすごいのは、この「音の消えた白」を、シルクスクリーンという版画で組み上げているところなんです。

どういうことか?というと、シルクスクリーンは、色を一色ずつ、版を替えて刷り重ねていく技法です。

型紙を当てて、その上から一色ずつ絵の具を通していく。それを寸分の狂いもなく、何度も繰り返していく作業だと思ってください。

ここで難しいのが、雪です。

雪は「白」という一色ではありません。

日の当たる面の白、影になった面の青みがかった灰、枝に載った雪の縁の、ほんのわずかな灰色。

それらが正しい位置に置かれて、はじめて「雪が積もっている」と見えます。

一度でも版がズレれば、白は濁り、枝は太った線になってしまう。

しかもこの絵は、木々の枝が髪の毛ほどの細さで、画面の端まで張りめぐらされています。

その細い線を白く残したまま、後ろの空を濃いコバルトで刷り上げている。

版画は、原画の安い代わりではありません。作家が自分の表現を余すところなく届けるために選んだ、もうひとつの完成形です。

だからこそ、エディションナンバーは「基準に届いた刷りだけが世に出た」という、作家自身の合格印になるんですね。

⑥ 青が沈むほど、雪は自分から光りはじめる

・・・と、ここまでで技法のすごさをお分かりいただけたかと思いますが、この一枚の見どころは、時間帯によって主役が入れ替わるところにあります。

朝、部屋に自然光が入る時間には、空のコバルトが澄んで軽くなります。

雪は素直に「明るい面」として見えて、絵全体が外の景色のように開けて見える。

ところが夜、照明を落とすと、青がぐっと沈んで奥へ引き、白い雪だけが自分から光りはじめるように見えてきます。

昼は窓の外の景色、夜は部屋の中の灯り。一枚で二つの顔を持っているんです。

そして面白いのが、あの小さな人たちの色です。

赤や黄色は、昼は雪の明るさに紛れていますが、夜になると、遠くで焚き火が灯っているようにぽつぽつと浮かび上がってきます。

青と白だけの世界に、体温がひとつずつ戻ってくる感じですね。

じっと見ていると、遠くの人の話し声がふっと引いて、頬に触れる冷たい空気の感触まで届いてくるような、そんな気さえしてきます。

静かなのに、寂しくない。この一枚を長く飾っていられる理由は、たぶんそこにあります。

⑦ 「日本のエッセンス」というシリーズ

この作品が属する「日本のエッセンス」は、日本各地の名所や季節の行事を描いた連作です。

祇園祭や兼六園、三千院、薬師寺、かまくらといった主題が知られていて、富士山はその中の一点にあたります。

海外の都市風景や気球を華やかに描いてきた画家が、同じ筆づかいで日本の風景に向き合った連作、という位置づけですね。

だからこの絵の富士は、絵はがきのような正確さではなく、「日本の冬はこういう静けさだ」という翻訳になっています。

日本の名所を描いた作品が、海外の方への贈り物として喜ばれてきたのも、この翻訳の力によるところが大きいと感じています。

⑧ この絵には、どんな額が合う?

ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。

雪を広げる『ホワイト額装』

まずは定番の、オフホワイトの額装です。

この絵は画面の中に白がたっぷり入っているので、そこへ明るい白の額を回すと、雪の面が額の外側までひと続きに広がって見えます。

結果として、壁の一角だけ空気が澄んだような、涼やかな抜け感が生まれます。

おすすめは、家族が集まるリビングです。朝の陽が入る時間には、白い額が光を返して、空のコバルトがすっと軽やかになります。

夜、あかりを落とすと、今度は額の白だけが淡く残って、絵の中の雪明かりを見ているような静けさが出てきます。

壁の前で足を止めた家族が、「この人たち、何を見てるんだろうね」と自然に顔を寄せる。そんな会話が生まれる一枚です。

『ホワイト額装』×家族のリビング設置イメージ。オフホワイトの額が雪の白を壁の外まで広げる

空を連れてくる『ネイビー額装』

青い空の絵に、青い額?と思われるかもしれませんが、この絵にはあえて、夜明け前のような深いネイビーの額を合わせる案もおすすめしたいんです。

作品のコバルトと額の紺が響き合うことで、空の色が壁の外まで続き、雪の白と富士の稜線だけが、二段階明るく抜けてきます。

これが似合うのは、応接室や書斎です。

昼は窓の光で紺が落ち着いた藍色に見え、夜は間接照明の下で、雪の白だけが静かに浮かび上がる。

来客がソファに腰を下ろした瞬間、視線がふっとこの一枚に吸い寄せられて、部屋の話し声が半音下がる。言葉より先に、その部屋の格が伝わる組み合わせです。

『ネイビー額装』×応接室・書斎設置イメージ。深い紺の額が作品のコバルトの空を壁の外へ続かせる

体温を添える『ウォルナット額装』

3つめは、少し意外に思われるかもしれませんが、クルミ材の落ち着いた茶色、ウォルナットの額装です。

青と白だけの絵に木の色を添えると、絵の中でただひとつ体温を持っている、あの小さな人たちの色と額とが呼応します。

冷たい景色なのに、見ている側がその輪の中に入れてもらえたような、不思議な近さが出てくるんですね。

おすすめは、静かなカフェや待合の空間です。

コレクターとして冬の絵を実際に壁へ掛けてみて感じるのは、木の額を選んだときだけ、絵が「窓」ではなく「その場所の記憶」になることなんです。

昼は木目が陽を受けて柔らかく、夜は照明の下で深い飴色に沈みます。

席についたお客様が、コーヒーを置いたまま、しばらく壁のほうを見ている。そんな時間を作ってくれる組み合わせです。

『ウォルナット額装』×静かなカフェ設置イメージ。木の額が絵の中の人々の色と呼応する

⑨ まとめ

雪が音を吸い取った朝、色を持っているのは、集まってきた人たちだけ。

その静けさと、小さな体温は、飾った人の暮らしの中で、朝と夜とで違う表情を見せてくれます。

それは、買った人だけが知る顔です。

そして、この『日本のエッセンス 富士山』は、いまはどこかで、次の持ち主を静かに待っている一枚です。

名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。

だからこそ、先に「私はこの絵を待っています」と教えておいていただくことで、当ギャラリーはその瞬間にまっ先にご連絡できます。

この作品を、あなたのために専属でお探しします(ご相談は無料)

やまアートギャラリーでこの作品をリクエストする

すぐのご用意はお約束できませんが、あなたの一声があって初めて、この一枚は「あの方のための冬だ」と探し当てることができます。作品のご不明点や額装のご相談も、お気軽にお問い合わせください。しつこい営業は、いたしません。

よくあるご質問

この作品は本物ですか?

はい、ヒロ・ヤマガタの本物のシルクスクリーンです。エディション149/300のナンバー入り作品で、お探しの上でご案内する際は、一点ごとに状態と真贋を確認したうえでお伝えします。

すぐに購入できますか?

いいえ、本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする「お探しリクエスト」の作品です。ご希望を伺ってから国内外のネットワークでお探しし、見つかり次第、価格とともにご連絡します。数ヶ月かかることも、見つからない場合もございますが、ご相談・調査は無料です。

見つかるまで、どのくらいかかりますか?

正直に申し上げると、時期はお約束できません。名品は市場にふいに、たいてい一度きり現れます。先にご希望を伺っておくことで、その一点が現れた瞬間にまっ先に確保してご連絡できます。無理なお取引はおすすめいたしません。

エディション番号で価値は変わりますか?

基本的には変わりません。シルクスクリーンは限定部数のすべてが作家の基準に届いた刷りとして世に出るため、149/300という番号は「300部のうちの1点」であることを示す記録です。価値を左右するのは番号より、紙やインクの状態・保管環境・額装の質になります。

額装は変更できますか?

はい、額装のご相談を承っております。この記事でご紹介した3パターンをはじめ、お部屋の雰囲気に合わせてご提案しますので、リクエストの際にお気軽にお申し付けください。

送料はかかりますか?

お作品が見つかりご成約となった際に、あらためて送料を含めた総額をご案内いたします。梱包・配送にも十分配慮してお届けします。