【暮れきらない夜を灯す】ヒロ・ヤマガタ『ムーランルージュ』シルクスクリーンのご紹介
ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。
やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。
本日も心に残る一枚をお届けします。
本日ご紹介するのは、ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/1948- )のシルクスクリーン『ムーランルージュ』です。深い緑の空の下で赤い風車が回り、その前の通りをカンカンの踊り子と撮影のカメラ、それを見物する人々が埋めつくす一枚。本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする作品です(ご相談無料)。
この記事でわかること
- ヒロ・ヤマガタがどんな画家で、なぜパリの夜を描けたのか(20代の6年間をパリで過ごした経歴)
- 『ムーランルージュ』の基本情報(技法・体裁)と、お探し品ゆえに番号・寸法が空欄である理由
- 1889年にモンマルトルで誕生した「赤い風車」と、その前で行われている撮影風景の読み方
- 100色以上を重ねるヒロ・ヤマガタのシルクスクリーンが、群衆と看板文字をどう成立させているか
- 「ヤマガタ・ブルー」の画家がこの絵で空を緑にした理由と、朝夜で入れ替わる見え方
- この作品に合う額装3パターンと、飾ったときの空間の変化

① 本日のご紹介作品
本日ご紹介するのは、ヒロ・ヤマガタ氏の『ムーランルージュ』という作品です。
この絵の前に立つと、目が一箇所に止まってくれません。
赤い風車を見たつもりが、次の瞬間には踊り子を見ていて、その次にはカメラマンを目で追っている。
正直に言うと、私はこの絵を初めて見たとき、鑑賞というより散歩をしていました。
そして途中で気づいたんです。
空が、青くない。
暗い緑なんですね。
夜の絵なのに、まだ夜になりきっていない。
そういう空です。
今日この空の色の意味を知っていただけたら、この一枚が持つ不思議な明るさの正体が、きっと腑に落ちると思います。
そして、この作品には少し特別なご案内があります。
いまお手元にご用意できる在庫はなく、当ギャラリーが「あなたの専属」としてお探しする一枚です。
すぐのお届けはお約束できません。
ただ、ご希望を先に伺っておけば、市場に現れた瞬間にまっ先にご連絡できます。
ご相談は無料です。
まずは、この絵の中を一緒に歩いてみてください。
② パリに住んでいた画家が、あとから描いたパリ
ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/山形博導)は、1948年に滋賀県で生まれた画家です。
高校を卒業した1967年、高校の美術教師であった日本画家の椙村睦親に師事しました。
そして1972年、24歳で海を渡り、パリに住み始めます。
ルーヴル美術館に日参しながら、制作に没頭した時期でした。
翌1973年にはエコール・デ・ボザール(パリ国立美術学校)の聴講生となり、パリの画廊と契約します。
同じ年、ウィーンで初の個展を開きました。
1974年にはサロン・ドートンヌやフランス画家協会展に出品し、1978年にロサンゼルスへ移住します。
つまりこの画家は、20代のおよそ6年間を、パリの住人として過ごしているんですね。
その後の活躍は、ご存じの方も多いと思います。
1983年、気球の浮かぶ空を描いた『エアーショー』が、人類飛行200周年記念の祝典ポスターに選ばれました。
このころ確立された鮮やかな青が、のちに「ヤマガタ・ブルー」と呼ばれるようになります。
1984年にはロサンゼルス市の観光誘致キャンペーン公式作品を制作。
同じ年、ロードアイランド州が9月21日を「ヒロ・ヤマガタの日」に定めています。
1986年には自由の女神100周年記念の公式作品、2000年にはグラミー賞の公式アーティストに任命されました。
世界が何かを祝うたび、その年の顔として呼ばれてきた画家、ということですね。
その画家が、かつて自分が暮らした街の、いちばん賑やかな一角を描いたのがこの一枚です。
③ 数字で見る『ムーランルージュ』
まず、この作品の基本情報を整理します。
- 作家:ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/1948- )
- タイトル:ムーランルージュ
- 技法:シルクスクリーン
- 体裁:あなた専用の新品額装にてご提供いたします
エディション番号とサイズは、あえて空欄のままにしてあります。
本作はこれからお探しする一枚で、番号も寸法も、見つかった個体によって変わるからです。
確保できた時点で、状態とあわせて正直にお伝えします。
コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、こういう賑やかな一枚ほど、待っている人のところへ先に回っていくんですよね。
④ 赤い風車の前で、カメラが回っている
・・・ただ、数字で語れるのはここまで。
ここからは、この絵の中に何が描かれているのか、その話に迫っていきたいと思います。
ムーラン・ルージュは、1889年にパリのモンマルトルで誕生したキャバレーです。
フランス語で「赤い風車」という意味を持ち、その名のとおり、屋根の上に風車を載せ、建物全体を赤で統一しています。
歌とダンス、そしてフレンチカンカンのショーで知られる場所ですね。
ヤマガタが描いたのは、その建物そのものというより、建物の前にできあがってしまった一日の終わりのほうです。
画面の中央に、赤い風車が回っています。
その左右には『JARDINS』『MUSIC HALL』の看板が並び、通りに沿って店が肩を寄せ合っています。
『COTE DE PROVENCE』の壁、明かりのついたホテルの窓、緑の薬局。
窓のひとつひとつに人が立ち、下を見下ろしています。
そして通りです。
ここに、この絵のいちばん面白い仕掛けがあります。
赤と白の衣装をまとった踊り子たちが、横一列に並んで脚を跳ね上げています。
その正面には、三脚に据えられた大きなカメラが構えられている。
高い台によじ登ってカメラを回している人がいて、足元には黒い照明とケーブルがとぐろを巻いています。
つまりこれは、ムーラン・ルージュの前で撮影が行われている場面なんですね。
そして手前には、その撮影を遠巻きに眺める見物人が、びっしりと集まっています。
馬車が通り、薬局の配送車が停まり、路面電車が客を降ろしていく。
数えるのをあきらめるくらいの人が、この一枚の中で同時に動いています。
空には気球が浮かび、複葉機が横切っていく。
それでも、主役はいないんです。
赤い風車がいちばん目立つのに、その風車ですら、この夜のひとつの部品でしかない。
だから見る側は、いつまでも「主役探し」を終えられずに、絵の中を歩き続けることになります。
飾ってみると、その効果は暮らしの中でもっとよくわかります。
たとえば夜、帰宅して照明をつけたとき、この絵の前だけ人の気配がするんですね。
そして翌朝、通りすがりに「ここにこんな人がいたのか」と足を止める。
そういう絵なんです。
⑤ 100色を重ねて、やっと『ざわめき』になる
さらにこの絵がすごいのは、この人だかりを、シルクスクリーンという版画で組み上げているところなんです。
どういうことか?というと、シルクスクリーンは、色ごとに版を分けて刷り重ねていく技法です。
型紙を当てて、その上から一色だけを通す。
それを寸分の狂いもなく、何度も繰り返していく作業だと思ってください。
ヒロ・ヤマガタは、この重ねる回数が桁外れの画家として知られています。
一般的な多色刷りが20色前後とされるなかで、本人が「作品には100色以上使っている」と語ってきました。
その色数が、この絵では全部、人に化けています。
指の先ほどの大きさの人物が、通りをびっしり埋めている。
その一人ひとりの上着、帽子、スカート、鞄の色が、少しずつ違う。
一色分の版がズレれば、その人だけ輪郭が二重になり、群衆が汚れて見えます。
看板の文字もそうです。
『MOULIN ROUGE』『MUSIC HALL』『JARDINS』の文字は、どれも小さく、しかも建物の色の上に乗っています。
下地の色を透かせずに、白い文字だけをきれいに立たせる。
これを何十枚もの版でやり切って、ようやくあの「ざわめき」が画面に生まれるわけですね。
版画は、原画の安い代わりではありません。
作家が自分の表現を余すところなく届けるために選んだ、もうひとつの完成形です。
だからこそ、余白の直筆サインは「基準に届いた刷りだけが世に出た」という、作家自身の合格印になるんですね。
⑥ なぜ空は、青ではなく緑なのか
・・・と、ここまでで技法のすごさをお分かりいただけたかと思いますが、この一枚でいちばん語りたいのは、空の色です。
「ヤマガタ・ブルー」と呼ばれる青を持っている画家が、この絵では青を使っていません。
深い、暗い緑です。
もし空が黒だったら、この絵は「夜の絵」になっていたと思います。
もし青だったら、澄んだ「宵の絵」になっていたはずです。
けれど緑は、そのどちらでもない。
日が沈みきる寸前、空にまだ光の残りかすが溶けている、あの短い時間の色に見えます。
私はこれを『暮れきらない夜』と呼んでいます。
そしてこの緑は、赤の真向かいにある色でもあります。
だから風車の赤が、押されるようにして前へ出てくる。
暗い緑の中に、赤がポツンとある。
それだけで、目は勝手にそこへ行ってしまうんですね。
時間帯によって、この関係は入れ替わります。
朝、自然光が入る部屋では、緑が明るく持ち上がって、通りの人の色までよく見えます。
画面全体が、昼の市場のように賑やかになる。
ところが夜、照明を落とすと、緑が黒の側へ沈みます。
すると通りの色が引き、店の窓と街灯の黄色だけが、点々と残って見えてくるんです。
昼は「祭りの絵」、夜は「灯りの絵」。
一枚で二つの時間を持っています。
じっと見ていると、カメラの回る音や、見物人の笑い声や、馬の蹄の音までしてきそうな気がします。
にぎやかなのに、うるさくない。
この一枚を長く飾っていられる理由は、たぶんそこにあります。
⑦ 空に浮かぶ気球は、この画家の署名のようなもの
もうひとつ、見落としやすい場所があります。
画面の上のほう、緑の空です。
気球が浮かび、複葉機が一機、右から左へ横切っています。
19世紀末のモンマルトルを描いた画面に、空の乗り物が混ざっている。
ここは記録ではなく、この画家の手癖だと私は見ています。
冒頭でお話ししたとおり、ヒロ・ヤマガタの名を世界に知らせたのは、気球の浮かぶ空を描いた『エアーショー』でした。
その画家が、パリの夜空にも、やはり気球を上げているんですね。
作品にサインを入れるように、空にひとつ、自分の印を置いていく。
見つけたときに小さく笑ってしまう、そういう楽しみが仕込まれた一枚です。
⑧ この絵には、どんな額が合う?
ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。
灯りを守る『ホワイト額装』
まずは定番の、オフホワイトの額装です。
この絵は画面全体が暗い色でできています。
そこへ明るい白の額を回すと、絵と壁のあいだにはっきりした境ができて、暗さがそのまま「窓の外」になるんですね。
昼間の壁に、夜の一角が切り抜かれて掛かっているように見えてきます。
おすすめは、家族が集まるリビングです。
朝の陽が入る時間には、白い額が光を返して、通りの人の色までよく見えます。
夜、あかりを落とすと、白い枠だけが淡く残って、店の窓の黄色が舞台のように浮かび上がります。
壁の前で足を止めた家族が、「この人、何してるんだろう」と言い合う。
そんな会話が生まれる一枚です。

夜を深める『フォレストグリーン額装』
暗い絵に、暗い額?と思われるかもしれませんが、この絵にはあえて、空と同じ深い緑を合わせる案をおすすめしたいんです。
額の緑と空の緑がつながるので、画面の境目がやわらかくほどけます。
そのぶん、赤い風車と窓の灯りだけが、壁の中に浮かんで見えてくるんですね。
にぎやかな絵なのに、部屋のほうは静かなまま。
そういう不思議な収まり方をします。
これが似合うのは、応接室や書斎です。
昼は窓の光で緑が苔のような色を見せ、夜は間接照明の下で、ほとんど黒に沈みます。
来客がソファに腰を下ろした瞬間、視線が壁のほうへ吸い寄せられて、「これ、パリですか」と自然に口が開く。
言葉より先に、その部屋の気配が伝わる組み合わせです。

劇場を連れてくる『アンティークゴールド額装』
3つめは、少し意外に思われるかもしれませんが、くすんだ金のアンティークゴールド額装です。
この絵に描かれているのは、19世紀末に生まれた劇場と、その前の通りです。
そこへ古びた金の縁を回すと、額そのものが劇場の額縁のように働いて、通りの賑わいが一段と芝居がかって見えてきます。
金といっても新品の輝きではなく、少し曇った金です。
だから派手にならず、絵の赤を引き立てる側に回ってくれます。
おすすめは、夜も営業するカフェやバー、待合の空間です。
昼は木の家具と並んで穏やかに沈み、夜は照明を受けて縁だけが細く光ります。
コレクターとして自宅に絵を掛けてみて感じるのは、額を変えた瞬間に、部屋の時間帯まで変わってしまうことなんです。
私自身、届いた日に飾る場所を決めきれず、壁を変えては離れて眺め直した覚えがあります。
席についたお客様が、注文したことを忘れて、しばらく絵の中の通りを目で歩いている。
そんな時間を作ってくれる組み合わせです。

⑨ まとめ
赤い風車が回り、踊り子が脚を上げ、その正面でカメラが回り、空には気球が浮かぶ。
その全部を、暮れきらない緑の空が包んでいます。
だからこの絵は、夜なのに暗くならず、賑やかなのに騒がしくならない。
朝は祭りの絵、夜は灯りの絵。
それは、買った人だけが知る顔です。
そして、この『ムーランルージュ』は、いまはどこかで、次の持ち主を静かに待っている一枚です。
名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。
だからこそ、先に「私はこの絵を待っています」と教えておいていただくことで、当ギャラリーはその瞬間にまっ先にご連絡できます。
この作品を、あなたのためにお探しします。
ご相談は無料です。
しつこい営業は、いたしません。
すぐのご用意はお約束できませんが、あなたの一声があって初めて、この一枚は「あの方のための夜だ」と、探し当てることができます。
この作品を、あなたのために専属でお探しします(ご相談は無料)
作品のご不明点や額装のご相談は、お気軽にお問い合わせください。すぐのご用意はお約束できませんが、ご希望を伺っておけば、市場に現れた瞬間にまっ先にご連絡いたします。
ギャラリーからのご案内
探している作品、無料でお探しします
「あの作品、まだどこかにあるだろうか」そんな作品がありましたら、お気軽にご相談ください。作家名や作品名がうろ覚えでも構いません。海外ディーラー・オークション・非公開ネットワークから、お客様だけの一点をお探しします。ご相談・調査はすべて無料。お見積もりまでで終了いただいても構いません。
よくあるご質問
この作品は本物ですか?
はい、ヒロ・ヤマガタの本物のシルクスクリーンです。お探しした個体をご案内する際は、一点ごとに直筆サインの有無・エディション番号・状態と真贋を確認したうえでお伝えします。
いますぐ購入できますか?
いいえ、本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする「お探しリクエスト」の作品です。ご希望を伺ってから国内外のネットワークでお探しし、見つかり次第、価格とともにご連絡します。数ヶ月かかることも、見つからない場合もございますが、ご相談・調査は無料です。
エディション番号やサイズが書かれていないのはなぜですか?
本作がこれからお探しする一枚だからです。同じ『ムーランルージュ』でも、番号や刷りの寸法は個体によって異なります。確保できた時点で、状態とあわせて正直にお伝えします。
額装は変更できますか?
はい、額装のご相談を承っております。本記事でご紹介した3案以外でも、飾る部屋の壁色や家具に合わせてご提案いたします。お探しした個体をご案内する際に、あわせてご相談ください。
送料はかかりますか?
国内は送料無料でお届けしております。額装済みの作品を、専用の梱包でお送りします。
暗い色の絵は、部屋が重くなりませんか?
この作品に限っては、その心配は小さいと考えています。空は黒ではなく深い緑で、店の窓や街灯の黄色が画面のあちこちで灯っているため、暗さより「灯りの多さ」が先に目に入ります。壁色が濃い部屋では明るい額を、白い壁では深い色の額を合わせると、より収まりがよくなります。
※本記事の文章・画像の著作権は、やまアートギャラリーに帰属します。
複製、転載、流用、転売、および生成AIの学習データへの組み込みは、著作権者の許可なく一切お断りいたします(無断流用に基づく改変も同様)。
なお、AI検索エンジン等が本記事を出典として参照・引用する形での利用は、これを妨げません。

