【見返すレンズを迎える】トム・エバハート『Come on Baby It's Not What It Looks Like』アクリル原画のご紹介

ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。

やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。

本日も心に残る一枚をお届けします。

トム・エバハートの『Come on Baby It's Not What It Looks Like』は、世界に1点だけのアクリル原画です。黒い筆で描かれたカメラのレンズの奥から、スヌーピーの目がまっすぐこちらを見ています。撮る側と撮られる側が入れ替わる構図で、正面から向き合う壁に掛けると通りかかるたびに目が合う一枚です。作家の直筆サインと本物証明書が付属し、寸法は縦57cm×横76cmです。

この記事でわかること

  • 『Come on Baby It's Not What It Looks Like』でカメラが主題に選ばれた理由(『ピーナッツ』全編にカメラは二点しか登場しない)
  • 見る人と目が合ってしまう、画面上の具体的な仕掛け
  • トム・エバハートがシュルツから生涯の権利を託された、ただ一人の画家である経緯
  • 版画と原画で希少性の意味がどう変わるのか(世界に1点という事実の重み)
  • この作品に合う額装3パターンと、空間・時間帯別の見え方
  • 本作が「専属お探し」の一点である理由と、リクエストの出し方

トム・エバハート『Come on Baby It's Not What It Looks Like』アクリル原画の全体像

① 本日のご紹介作品

本日ご紹介する作品は、トム・エバハート氏の『Come on Baby It's Not What It Looks Like』です。

まず、こちらが見られます。

黒い筆で描かれたカメラが画面いっぱいに構えていて、そのレンズの奥から、スヌーピーの目がまっすぐこちらを見ています。

構えているのはカメラのはずなのに、覗き返されているのはこちらなんです。

正直に言うと、私は最初この絵の前で、見つめているのか見返されているのか、一瞬わからなくなりました。

撮る側と撮られる側が、この一枚の前では入れ替わります。

『見返してくるレンズ』とでも言えばいいでしょうか。

今日この作品を知っていただくと、「絵は黙って見られるもの」という前提が、たぶん一度ひっくり返ります。

この作品は、トム・エバハート作品を多数ご紹介しているネットショップ『やまアートギャラリー』で、専属お探しの一点としてご案内しています。

② シュルツが生涯の権利を託した、ただ一人の画家

トム・エバハートは1952年、アメリカ・ワシントンD.C.生まれの画家です。

イェール大学の美術・建築学部で絵画を学び、1980年に『ピーナッツ』の作者チャールズ・M・シュルツと出会いました。

そこから20年にわたる交友が始まります。

1991年、シュルツとユナイテッド・メディアは、ひとつの契約を交わします。

『ピーナッツ』の題材を自身の作品に使う権利を、エバハートに生涯にわたって認める内容でした。

キャラクターを借りて描く画家ではなく、生涯の権利を託された、ただ一人の画家です。

1990年1月には、ルーヴル美術館で初の個展が開かれています。

つまり彼は最初から、漫画の絵を売る人ではなく、美術の文脈で評価されてきた画家なんですね。

その画家が、スヌーピーの目を借りて、こちらを見返してくる。

ここが、この作品を見るときの入口になります。

③ 数字で見る『Come on Baby It's Not What It Looks Like』

  • 作家:トム・エバハート(Tom Everhart/1952- )
  • 作品名:Come on Baby It's Not What It Looks Like
  • 技法:アクリル原画
  • エディション:なし(世界に1点)
  • 寸法:縦57cm × 横76cm
  • 署名:作家の直筆サインあり
  • 付属:本物証明書

版画には限定部数があります。

750部、あるいは125部といった数字が、そのまま希少性の説明になります。

けれど原画に、その数字はありません。

1、それだけです。

コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、原画は「次を待つ」という発想が最初から成り立たないんですよね。

同じ絵が二度出てくる可能性が、構造上ゼロなので。

・・・ただ、希少性を数字で語れるのは、ここまでです。

ここからは、なぜエバハートがよりによってカメラを描いたのか。

その主題の出どころに迫っていきたいと思います。

④ 半世紀の連載に、二回しか出てこなかったもの

エバハートは『ピーナッツ』の全編を読み返し、作中に登場するカメラを探したことがあります。

見つかったのは、わずか二点でした。

半世紀にわたる膨大な連載の中に、カメラはたった二回しか現れない。

この作品の主題は、そこから引かれています。

ほとんど描かれなかった小道具を、画面いっぱいに引き伸ばす。

シュルツが置かなかった場所に、あえて立つやり方です。

そして題名です。

『Come on Baby It's Not What It Looks Like』。

日本語にすれば「まあ待ってくれ、これは見た目どおりじゃないんだ」。

何かの現場を押さえられた人が、とっさに口にする言い訳の言葉なんですね。

普通なら、カメラを向けられた側が言う台詞です。

ところがこの絵では、レンズの奥にいるのがスヌーピーのほうです。

撮られる側にいるはずの顔が、こちらを見返してくる。

言い訳をしているのはどちらなのか、最後まで決まりません。

玄関やダイニングなど、正面から向き合う壁に掛けると、通りかかるたびに目が合います。

そのたびに、あの言い訳めいた題名の可笑しみが小さく蘇ります。

以前、当店で絵を迎えてくださったお客様から、ご主人の帰りを待って二人で壁に飾り終えたところです、とお便りをいただいたことがあります。

飾ったあとに残るのは、作品そのものより、そういう時間のほうなのだと思います。

⑤ 手で引かれた四角だから、カメラが息をする

さきほどの「目が合ってしまう」感覚。

実はこれ、主題の面白さだけでなく、画面の作り方がそう仕向けています。

まず、この絵には版がありません。

版画なら、同じ版を同じ順番で重ねれば、同じ絵がもう一度立ち上がります。

原画には、その後戻りがないんです。

カメラの輪郭を見てください。

黒い線が、途中で太くなったり、かすれたりしています。

一筆で引き切った線だからです。

定規で引いた四角なら、レンズはただの機械に見えます。

手で引いた四角だから、カメラのほうが息をしているように見えます。

画面に飛んでいる青と黄の粒も同じです。

あれは置き直した点ではなく、勢いのついた筆から離れた絵具です。

どこに落ちるかは、描いている本人にも決められません。

濡れた傘を玄関で一度振ったときの、あの飛び方に近い。

同じ手つきをもう一度やっても、同じ形にはならないやつです。

そして、いちばん効いているのがレンズの中の目の位置です。

円のほぼ中心に、黒目が二つ置かれています。

中心に置かれた点は、どの角度から見ても、見ている人のほうを向いて見えます。

だから部屋のどこに立っても、視線が外れません。

・・・と、ここまでで、この絵が「こちらを離さないように」作られていることがお分かりいただけたかと思います。

この離さなさを、最後に決めているのが色なんです。

⑥ 白い紙の上で、青と黄が時間を分け合う

この絵の下地は、ほとんど白です。

紙の白がそのまま残っていて、そこに青と黄が飛んでいます。

朝の光で見ると、青がよく立ちます。

窓から入る白い光と紙の白が重なって、青だけが浮いて見えるんです。

一日の入り口に置く色としては、かなり涼しいほうだと思います。

夕方から夜、電球色の明かりの下では、今度は黄が起きてきます。

青は静かに沈み、黄緑の飛沫が点々と灯って見えます。

音でいえば、この黄は遠くの草むらで鳴いている虫の音くらいの音量です。

うるさくないのに、部屋が無音ではないことを教えてくれます。

そしてスヌーピーの白。

暖色でも寒色でもない、ただの白い面です。

青と黄のあいだを行き来した目が、最後にここで一度止まります。

止まった瞬間に、あの黒目と目が合ってしまう。

ドキッとするのは、たぶんこの順番のせいです。

黒についても触れておきます。

カメラの輪郭と黒目に使われている黒は、影ではありません。

静けさの担当です。

この黒があるから、青と黄がどれだけ跳ねても、画面全体は騒がしくなりません。

⑦ 題名は、いちばん最後まで残る

エバハートの作品を何点か並べてご覧いただくと、あることに気づきます。

題名が、絵の説明になっていないんです。

『Come on Baby It's Not What It Looks Like』も、絵を見ただけではたどり着けない言葉です。

彼は自分の手法を「カモフラージュ」と呼んできました。

シュルツの線をそのままの意味では使わず、題名も絵の中身をまっすぐには指さない。

見る人が自分の物語を持ち込むための余白を、意図的に空けておくやり方です。

飾った初日、この題名はただの札です。

半年も経つと、家の中の言い回しに変わります。

「今日のあれ、完全に言い訳の顔してる」

そんな一言が出るようになったら、この絵はもうその家のものになっています。

⑧ この絵にはどんな額が合う?

ここからは、この作品にどんな額装が合うのか。

私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。

なお、この一枚は現在ご用意のある作品ではなく、これからお探しする一点です。

ですので以下は「見つかったとき、どんな迎え方をするか」という設計図として読んでいただければと思います。

白をつなげる『ホワイト額装』

玄関に向けた一案です。

この絵は、周囲に紙の白がたっぷり残っています。

そこに白系の額をあわせると、絵の白と額の白がつながって、カメラだけが宙に浮いて見えます。

見返してくるレンズを、額の中に閉じ込めない。

そういう選び方です。

朝、玄関のドアを開けた直後に見ると、青がいちばん澄んで見えます。

出かける前の数秒に、涼しい面積が視界に入るというのは、思っている以上に効きます。

夜、帰宅して明かりをつけると、今度は白い額が光を拾って、カメラの輪郭がやわらかくぼやけます。

一日の終わりに迎えられるには、このぼやけ方がちょうどいいんです。

玄関に絵を掛けると、家族が必ず一日二回、その前を通ります。

「行ってきます」をこの絵に向かって言う日が、たぶんいつか来ます。

トム・エバハート『Come on Baby It's Not What It Looks Like』『ホワイト額装』×玄関の設置イメージ

飛沫を拾う『ライトブルー額装』

ダイニングに向けた、作品専用カラーの一案です。

青い飛沫の絵に青い額?と思うかもしれませんが、これがよく効きます。

額のライトブルーが画面に散った青の粒と手をつないで、飛沫が額の外まで続いているように見えるんです。

すると、黄だけがくっきり残ります。

昼、食卓に自然光が入る時間帯には、額の青が明るく抜けて、画面が一段広く感じられます。

夜、ペンダントライトを落とすと、額の青がグレーに近い落ち着いた色に沈みます。

食事のあいだ、絵が静かに一歩下がってくれる感じです。

私自身、自宅にも一枚、絵を掛けています。

正直に申し上げると、届いてから飾る場所を決めるまでが、いちばん楽しい時間でした。

ここでもない、あそこでもないと壁を見て回って、結局いちばん長く座る場所の正面に落ち着いた。

この一枚も、たぶんそうやって居場所が決まる絵です。

トム・エバハート『Come on Baby It's Not What It Looks Like』『ライトブルー額装』×ダイニングの設置イメージ

黒で締める『ブラック額装』

カフェや店舗など、商業空間に向けた変化球です。

この絵の主役は、太い黒の輪郭です。

額を黒にすると、輪郭と額が一続きになって、カメラが壁に埋め込まれているように見えます。

写真が壁から出てきた、くらいの見え方になるんです。

昼、外光の入る店内では、この組み合わせがいちばん遠くまで届きます。

入口から入ってきたお客様の視線が、まずレンズに引っ張られる。

夕方、照明が主役になる時間帯には、黒が空間に溶けて、白い紙の面だけが浮かび上がります。

カウンター越しに「あの絵、こっち見てますよね」と言われたら、その店の常連が一人増えた合図だと思います。

トム・エバハート『Come on Baby It's Not What It Looks Like』『ブラック額装』×カフェ空間の設置イメージ

⑨ まとめ

『Come on Baby It's Not What It Looks Like』は、見ているつもりが、見られている一枚です。

撮る側と撮られる側が入れ替わり、言い訳をしているのがどちらなのか、最後まで決まりません。

見返してくるレンズを部屋に迎えるというのは、そういうことなんだと思います。

美術館で見た絵に、その関係は生まれません。

一度きり、決められた時間、決められた距離で見て終わりです。

毎日、違う体調で、違う光の下で、同じ目と視線を合わせ続けたときにだけ現れるものがある。

それは、買った人だけが知る顔です。

そして、この一枚について正直にお伝えしておかなければならないことがあります。

本作はいま、すぐにお渡しできる状態にはありません。

原画は世界に1点だけの作品ですから、ご希望をお預かりして、これからお探しする形になります。

数ヶ月で見つかることもあれば、もっと先になることもあります。

見つからないまま終わる可能性も、正直にお伝えしておきます。

それでもリクエストをいただく意味があるのは、こういう理由です。

名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。

そのとき「どなたが探しているか」を私たちが知らなければ、目の前を通り過ぎるのを見送るしかありません。

先にご希望を伺っておくことで初めて、現れた瞬間に「あの方のための一点だ」と気づいて、確保してご連絡できます。

ご相談・ご登録は無料です。

しつこい営業は一切いたしません。

一度伺ったお名前と作品を、忘れることはありません。

「ずいぶん前にお話しした、あの作品が入りましたよ」

そんなご連絡を、いつかお届けできるのを楽しみにしています。

この作品のお探しリクエスト・ご相談はこちらから

やまアートギャラリーで見る

ご相談・ご登録は無料です。額装のご相談や、似た雰囲気の作品でというご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

この作品は本物ですか?

はい、作家の直筆サイン入りの作品で、本物証明書が付属します。当ギャラリーはトム・エバハート作品を継続して取り扱っており、真作であることを確認したうえでご案内しています。

額装は変更できますか?

はい、額装のご相談を承っております。お部屋の壁色・照明・設置場所をお伺いしたうえで、最適な額装をご提案いたします。本記事の3案も、そのままご指定いただけます。

送料はかかりますか?

ご案内が確定した段階で、作品ごとに配送方法と送料をご案内いたします。原画は輸送時の保護が必要なため、作品のサイズと額装の仕様にあわせて梱包・配送手段を個別に手配いたします。

この作品は、いま購入できますか?

いいえ、本作はいますぐお渡しできる状態にはありません。世界に1点のみの原画のため、ご希望をお預かりしたうえで、当ギャラリーがあなたの専属としてお探しする形になります。数ヶ月で巡り合えることもあれば、もっと先になることも、見つからないまま終わることもあります。ご相談・ご登録は無料で、しつこい営業はいたしません。

原画と版画では、希少性の意味が違うのですか?

はい、意味が異なります。版画は限定部数という数字で希少性が語られますが、原画は世界に1点のみで、同じ作品が二度市場に出ることが構造上ありません。『Come on Baby It's Not What It Looks Like』はアクリル原画のため、エディション番号を持たない一点物です。