【額の中の額を壁に掛ける】トム・エバハート『(Who Gets) The Last Laugh 11』アクリル原画のご紹介
ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。
やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。
本日も心に残る一枚をお届けします。
トム・エバハートの『(Who Gets) The Last Laugh 11』は、世界に1点だけのアクリル原画です。画面の左側には赤と黄で埋めつくされた額縁が描かれ、その中に小さな人物がいます。右側では白い大きな顔が紙からはみ出さんばかりの近さでこちらを見ており、見る側と見られる側の順番が最後まで決まりません。作家の直筆サインと本物証明書が付属し、寸法は縦76cm×横102cmです。
この記事でわかること
- 『(Who Gets) The Last Laugh 11』が画面の中に額縁を抱え込んでいる意味(額の中の額という構図)
- 題名『最後に笑うのは誰か』と、大小の対比が示している関係
- 背景の緑が流れたまま残っている理由と、原画にしかない一度きりの筆致
- トム・エバハートがシュルツから生涯の権利を託された、ただ一人の画家である経緯
- この作品に合う額装3パターンと、空間・時間帯別の見え方
- 本作が「専属お探し」の一点である理由と、リクエストの出し方

① 本日のご紹介作品
本日ご紹介する作品は、トム・エバハート氏の『(Who Gets) The Last Laugh 11』です。
まず、画面の右半分を見てください。
白い大きな顔が、紙からはみ出さんばかりの近さで、まっすぐこちらを見ています。
そして左半分には、額縁が描かれています。
赤と黄のクレヨンのような筆致で埋めつくされた額の中に、小さな人物がもう一人います。
つまりこの絵の中には、額が最初からひとつ入っているんです。
『額の中の額』とでも言えばいいでしょうか。
正直に言うと、私はこの絵の前で、自分がどちら側に立っているのか一瞬わからなくなりました。
見ているつもりで、絵の中の誰かの視界に入っている感じがしたんです。
そしてこの絵を壁に掛けると、その外側に、本物の額がもうひとつ増えます。
今日この作品を知っていただくと、絵を飾るという行為そのものが、少しだけ違って見えるようになると思います。
この作品は、トム・エバハート作品を多数ご紹介しているネットショップ『やまアートギャラリー』で、専属お探しの一点としてご案内しています。
② 20年の友情の先に交わされた、一枚の契約
トム・エバハートは1952年、アメリカ・ワシントンD.C.生まれの画家です。
イェール大学の美術・建築学部で絵画を学んでいます。
1980年に『ピーナッツ』の作者チャールズ・M・シュルツと出会い、そこから20年にわたる交友が始まりました。
そして1991年、シュルツとユナイテッド・メディアは、ひとつの契約を交わします。
『ピーナッツ』の題材を自身の作品に使う権利を、エバハートに生涯にわたって認める内容でした。
キャラクターを借りて描いている画家ではありません。
シュルツ本人から直接手ほどきを受け、生涯の権利を託された、ただ一人の画家です。
1990年1月には、ルーヴル美術館で初の個展が開かれています。
つまり彼は最初から、漫画の絵を売る人ではなく、美術の文脈の中で評価されてきた画家なんですね。
その画家が、額縁ごと画面に描き込んでくる。
ここが、この作品を見るときの入口になります。
③ 数字で見る『(Who Gets) The Last Laugh 11』
- 作家:トム・エバハート(Tom Everhart/1952- )
- 作品名:(Who Gets) The Last Laugh 11
- 技法:アクリル原画
- エディション:なし(世界に1点)
- 寸法:縦76cm × 横102cm
- 署名:作家の直筆サインあり
- 付属:本物証明書
まず、寸法に目を留めていただきたいです。
横102cmは、四人掛けのダイニングテーブルとほぼ同じ幅です。
小さくまとまった一枚ではなく、壁の主役として設計されたサイズなんですね。
そして版画と違い、この作品には限定部数がありません。
750部や125部といった数字が、版画では希少性の説明になります。
けれど原画に、その数字は付きません。
1、それだけです。
コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、原画は「次の一枚を待つ」という発想が最初から成り立たないんですよね。
同じ絵がもう一度出てくる可能性が、構造上ゼロなので。
・・・ただ、希少性を数字で語れるのは、ここまでです。
ここからは、この絵がなぜ額縁を抱え込んでいるのか。
その題名の意味に迫っていきたいと思います。
④ 最後に笑うのは、どちらなのか
題名の『(Who Gets) The Last Laugh 11』は、日本語にすれば「最後に笑うのは誰か」です。
The last laugh というのは、英語の言い回しです。
先に笑われた側が、最後に形勢をひっくり返して笑い返す。
そういう逆転の場面を指す言葉なんですね。
そのうえで、もう一度この絵の構図を見てください。
小さい人物は、額の中にいます。
大きい顔は、額の外にいます。
普通なら、額に入っている方が主役です。
飾られ、鑑賞され、見られる側にいるのが額の中の絵ですから。
ところがこの一枚では、額の外にいる顔の方が圧倒的に大きい。
額の中の小さな人物を、外から悠々と眺めているようにも見えます。
けれど、その顔もまた、この絵という一枚の紙の中にいます。
そして私たちは、その紙を額に入れて壁に掛けようとしている。
見ている人が、次の瞬間には見られている側に回る。
その順番が終わらないから、最後に笑うのが誰なのか決まらないのだと、私は見ています。
だからこの絵は、部屋に置いたときに強いんです。
ソファの正面に掛けると、朝、カーテンを開けた瞬間にまず目が合います。
夜、片付けを終えて座り直したとき、もう一度目が合います。
一日に二回、この絵はこちらの様子を確認しにきます。
以前、当店で絵を迎えてくださったお客様から、ご主人の帰りを待って二人で壁に飾り終えたところです、とお便りをいただいたことがあります。
飾ったあとに残るのは、作品そのものより、そういう時間のほうなのだと思います。
⑤ 止められなかった緑と、直せない線
さきほどの「順番が終わらない」感覚。
実はこれ、題名の面白さだけでなく、絵具の置き方がそう仕向けています。
まず、この絵には版がありません。
版画なら、同じ版を同じ順番で重ねれば、同じ絵がもう一度立ち上がります。
原画には、その後戻りがないんです。
背景の緑を見てください。
上から下へ、細い筋がいくつも垂れています。
紙を立てた状態で、絵具がまだ乾かないうちに次を置いた跡だと見ています。
垂れた分だけ、描いた時間がそのまま画面に残っているわけです。
やり直せば、この筋は消えます。
消さなかったから、緑がいまも流れている途中に見えます。
窓ガラスに当たった雨が、条になって下りていくのを眺めているときの感じに近いです。
同じ雨をもう一度降らせても、同じ筋にはならないやつです。
そして、額縁の線です。
この額縁は、定規で引かれていません。
黒い線が波打ち、赤い線が上を横切り、点が不揃いに並んでいます。
定規で引いた額なら、それはただの四角い枠です。
手で引いた額だから、枠のほうが揺れているように見えます。
いちばん効いているのは、大小の差の付け方です。
小さい人物は、輪郭も色も細かく刻まれています。
大きい顔は、太い線数本でほとんど描き切られています。
細かいものは遠くに、粗いものは近くに見えるのが人の目の癖です。
だから額の中の人物は奥へ引き、大きい顔はぐっと手前に出てきます。
一枚の紙の上に、はっきりと距離が生まれているんですね。
・・・と、ここまでで、この絵が「奥行きを持つように」作られていることがお分かりいただけたかと思います。
この奥行きに、最後に温度を付けているのが色なんです。
⑥ 緑がいちばん大きな声で、白がその休符になる
この絵の面積を、いちばん多く占めているのは緑です。
しかも、落ち着いた深緑ではありません。
芝生に日が当たったときの、あの明るくて少し騒がしい緑です。
朝の光の下では、この緑が一日でいちばん高い音を出します。
白い壁との差が開いて、画面だけが先に起きているように見えます。
出かける前の五分に見るには、少し元気すぎるくらいです。
夕方から夜、電球色の明かりに変わると、緑は一段沈みます。
代わりに、額の中の赤と黄が起きてきます。
昼のあいだ緑に押されていた小さな面積が、夜になると急に前へ出てくるんです。
同じ絵なのに、昼と夜で主役が入れ替わります。
音でたとえるなら、緑は屋外の音量、赤と黄はテーブルの上の音量です。
そして、白です。
大きい顔の白は、暖色でも寒色でもない、ただの白い面です。
緑と赤のあいだを行き来した目が、最後にここで一度止まります。
止まった瞬間に、あの黒い目と目が合ってしまう。
ドキッとするのは、たぶんこの順番のせいです。
黒についても触れておきます。
輪郭と目に使われている黒は、影ではありません。
静けさの担当です。
この黒があるから、緑がどれだけ跳ねても、画面全体は騒がしくなりません。
⑦ 題名に番号が付いているということ
この作品の題名の末尾には、11という数字が付いています。
同じ主題を、番号を変えて何度も描いているということです。
一度で言い切らず、少しずつ角度を変えて確かめていく描き方だと、私は見ています。
エバハートは自身の手法を「カモフラージュ」と呼んできました。
シュルツの線をそのままの意味では使わず、題名も絵の中身をまっすぐには指さない。
見る人が自分の物語を持ち込むための余白を、意図的に空けておくやり方です。
飾った初日、この題名はただの札です。
半年も経つと、家の中の言い回しに変わります。
「今日は、こっちが勝ってる感じがする」
そんな一言が出るようになったら、この絵はもうその家のものになっています。
⑧ この絵にはどんな額が合う?
ここからは、この作品にどんな額装が合うのか。
私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。
なお、この一枚は現在ご用意のある作品ではなく、これからお探しする一点です。
ですので以下は「見つかったとき、どんな迎え方をするか」という設計図として読んでいただければと思います。
額を増やしすぎない『ホワイト額装』
リビングに向けた、いちばん素直な一案です。
この絵には、すでに額縁がひとつ描き込まれています。
そこへ主張の強い額を足すと、枠が二重に見えて画面がうるさくなります。
白系の額を選ぶと、外側の枠が壁の色に溶けて、視線が絵の中の額へまっすぐ届きます。
『額の中の額』を邪魔しない。
そういう選び方です。
朝、南向きの窓から光が入る時間帯には、白い額が光を拾って、緑がいっそう明るく抜けます。
夜、天井の照明を落とすと、今度は額の輪郭がぼやけて、絵だけが壁に浮いて見えます。
家族が集まる壁に大きな絵を掛けると、面白いことが起きます。
ソファに座った全員の視線が、自然と同じ場所に集まるんです。
テレビを消したあとの数分に、絵の話が始まる家になります。

緑を受け止める『フォレストグリーン額装』
応接室に向けた、作品専用カラーの一案です。
緑の絵に緑の額?と思うかもしれませんが、これがよく効きます。
深いフォレストグリーンは、画面の明るい緑より何段も暗い緑です。
同じ色相で暗さだけを変えた額で囲むと、絵の緑が閉じ込められずに、額の側へ抜けていきます。
そして額が暗い分、白い顔と赤と黄だけが、はっきり前に出ます。
昼、自然光の入る応接室では、額が壁と静かに馴染んで、絵の明るさだけが残ります。
夜、スポットライトを当てると、深緑がほとんど黒に近づいて、額装した写真のように締まります。
私自身、自宅にも絵を掛けています。
正直に申し上げると、届いてから飾る場所を決めるまでが、いちばん楽しい時間でした。
ここでもない、あそこでもないと壁を見て回って、結局いちばん長く座る場所の正面に落ち着きました。
この一枚も、たぶんそうやって居場所が決まる絵だと思います。

遠くまで届かせる『マスタード額装』
カフェや店舗など、商業空間に向けた変化球です。
この絵の中の額縁には、赤と黄のクレヨンのような筆致が詰まっています。
外側の額をマスタードにすると、その黄が絵の内側と外側で呼応します。
面積の小さい色を、いちばん外で拾い直すやり方です。
すると、緑と黄が向かい合って、画面がぐっと強くなります。
昼、外光の入る店内では、この組み合わせがいちばん遠くまで届きます。
入口から入ってきたお客様の視線が、まず黄色い枠に引っ張られる。
夕方、照明が主役になる時間帯には、マスタードが落ち着いた土の色に沈み、緑だけが明るく残ります。
カウンター越しに「あの絵、中にも額がありますよね」と言われたら、その店の常連が一人増えた合図だと思います。

⑨ まとめ
『(Who Gets) The Last Laugh 11』は、見る側と見られる側の順番が、最後まで決まらない一枚です。
額の中に額があり、その外側に、あなたの額が加わります。
絵を飾るというのは、その順番の最後尾に自分が並ぶことなのだと思います。
美術館で見た絵に、その関係は生まれません。
一度きり、決められた時間、決められた距離で見て終わりです。
毎日、違う体調で、違う光の下で、同じ目と視線を合わせ続けたときにだけ現れるものがあります。
それは、買った人だけが知る顔です。
そして、この一枚について正直にお伝えしておかなければならないことがあります。
本作はいま、すぐにお渡しできる状態にはありません。
原画は世界に1点だけの作品ですから、ご希望をお預かりして、これからお探しする形になります。
数ヶ月で見つかることもあれば、もっと先になることもあります。
見つからないまま終わる可能性も、正直にお伝えしておきます。
それでもリクエストをいただく意味があるのは、こういう理由です。
名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。
そのとき「どなたが探しているか」を私たちが知らなければ、目の前を通り過ぎるのを見送るしかありません。
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よくあるご質問
この作品は本物ですか?
はい、作家の直筆サイン入りの作品で、本物証明書が付属します。当ギャラリーはトム・エバハート作品を継続して取り扱っており、真作であることを確認したうえでご案内しています。
額装は変更できますか?
はい、額装のご相談を承っております。お部屋の壁色・照明・設置場所をお伺いしたうえで、最適な額装をご提案いたします。本記事の3案も、そのままご指定いただけます。
送料はかかりますか?
ご案内が確定した段階で、作品ごとに配送方法と送料をご案内いたします。縦76cm×横102cmの大型作品のため、額装の仕様にあわせて梱包・配送手段を個別に手配いたします。
この作品は、いま購入できますか?
いいえ、本作はいますぐお渡しできる状態にはありません。世界に1点のみの原画のため、ご希望をお預かりしたうえで、当ギャラリーがあなたの専属としてお探しする形になります。数ヶ月で巡り合えることもあれば、もっと先になることも、見つからないまま終わることもあります。ご相談・ご登録は無料で、しつこい営業はいたしません。
題名の11という番号は何を意味しますか?
同じ主題を番号違いで複数点描いていることを示しています。『(Who Gets) The Last Laugh』は番号を変えて描き継がれた主題で、本作はそのうちの11番にあたります。ただし全体で何点あるかは公表されておらず、当ギャラリーとして確認できているのは本作の題名表記までです。
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