【霞む塔より、灯りを迎える】ヒロ・ヤマガタ『そりあそび』シルクスクリーンのご紹介
ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。
やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。
本日も心に残る一枚をお届けします。
本日ご紹介するのは、ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/1948- )のシルクスクリーン『そりあそび』(1988年・限定295部・作家直筆サイン入り)です。雪の降るパリの坂を子どもたちがそりで滑り降り、その向こうでエッフェル塔が雪に霞んでいる一枚。本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする作品です(ご相談無料)。
この記事でわかること
- ヒロ・ヤマガタがどんな画家で、なぜ雪のパリを描けたのか(20代の6年間をパリで過ごした経歴)
- 本作が刷られた1988年に、この画家が「エッフェル塔100周年」の公式作品を手がけていたという事実
- 『そりあそび』の基本情報(1988年・限定295部・縦41cm×横50cm・直筆サイン入り)
- 坂の左右に並ぶ学校・パン屋・お菓子屋の看板が示す、この絵の舞台の読み方
- 100色以上を重ねるシルクスクリーンで、降る雪の白をどう成立させているか
- 灰色だらけの画面なのに部屋が寒くならない、暖色の置き方と朝夜の見え方の違い
- この作品に合う額装3パターンと、飾ったときの空間の変化

① 本日のご紹介作品
本日ご紹介するのは、ヒロ・ヤマガタ氏の『そりあそび』という作品です。
雪の降るパリを描いた一枚なのですが、この絵を渡されると、たいていの人が同じものを最初に探します。
エッフェル塔です。
画面の上のほう、灰色の空の中に確かに立っています。
ただ、降る雪に飲まれて、輪郭が半分ほどけているんですね。
正直に言うと、私は最初、これを描き足りていない箇所だと思いました。
けれど視線を下へ落とした瞬間に、考えが変わったんです。
パン屋の日よけのオレンジも、坂を滑る赤いそりも、塔よりずっとはっきり見えている。
この絵でいちばん明るいのは、パリの名所ではなく、そこで暮らす人の持ち物のほうなんです。
今日この一枚の見どころを知っていただけたら、冬の絵を選ぶときの基準が少し変わると思います。
そして、この作品には特別なご案内があります。
いまお手元にご用意できる在庫はなく、当ギャラリーが「あなたの専属」としてお探しする一枚です。
すぐのお届けはお約束できません。
ただ、ご希望を先に伺っておけば、市場に現れた瞬間にまっ先にご連絡できます。
ご相談は無料です。
まずは、この雪の街を一緒に歩いてみてください。
② 塔の100周年を任された年に、塔を霞ませた画家
ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/本名 山形博導)は、1948年に滋賀県米原市で生まれた画家です。
高校を卒業した1967年、高校の美術教師であった日本画家の椙村睦親に師事しました。
そして1972年、24歳で海を渡り、パリで暮らし始めます。
翌1973年にはエコール・デ・ボザール(パリ国立美術学校)の聴講生となり、パリの画廊と契約。
同じ年、ウィーンで初の個展を開きました。
1974年にはサロン・ドートンヌやフランス画家協会展に出品し、1978年にロサンゼルスへ移住します。
つまりこの画家は、20代のおよそ6年間を、パリの住人として過ごしているんですね。
その後の歩みは、ご存じの方も多いと思います。
1983年、気球の浮かぶ空を描いた『エアーショー』が、人類飛行200周年記念の祝典ポスターに選ばれます。
このころ確立された鮮やかな青が、のちに「ヤマガタ・ブルー」と呼ばれるようになりました。
1984年にはロサンゼルス市の観光誘致キャンペーン公式作品を制作。
同じ年、ロードアイランド州が9月21日を「ヒロ・ヤマガタの日」に定めました。
1986年には自由の女神100周年記念の公式作品を手がけています。
そして本作が刷られた1988年、この画家は「エッフェル塔100周年」の公式作品を制作しているんです。
塔の記念の年の顔を任されていた、まさにその年に、自分の一枚では塔を雪の向こうへ下がらせている。
その並びを知ってから見ると、この絵の空の使い方が急に面白くなってきます。
③ 数字で見る『そりあそび』
まず、この作品の基本情報を整理します。
- 作家:ヒロ・ヤマガタ(Hiro Yamagata/1948- )
- タイトル:そりあそび
- 技法:シルクスクリーン
- 制作年:1988年
- エディション:限定295部
- サイン:作家直筆サイン入り
- 画寸:縦41cm × 横50cm
- 体裁:あなた専用の新品額装にてご提供いたします
エディション番号だけは、あえて空欄にしてあります。
本作はこれからお探しする一枚で、何番の刷りが見つかるかは、そのときにならないと分からないからです。
確保できた時点で、状態とあわせて正直にお伝えします。
コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、295という数字は、世界中に散らばってしまえば決して多い数ではないんですよね。
④ 学校とパン屋のあいだの、下り坂
・・・ただ、数字で語れるのはここまで。
ここからは、この絵の中に何が描かれているのか、その話に迫っていきたいと思います。
画面の中央を、石積みの壁に沿って一本の坂道が下りてきています。
坂の上には黒い鉄の手すりが並び、その手すりの向こうを、人が傘をさして歩いていく。
そして坂そのものを、子どもたちがそりで滑り降りているんですね。
滑り終えた子が、そりを引いて坂を上り返している姿もあります。
タイトルの『そりあそび』は、この一本の坂のことだと思っていただいて構いません。
面白いのは、その坂の左右に並んでいる店です。
左手には『ECOLE』の文字が見えます。
学校ですね。
その下には『BOULANGERIE』、パン屋のオレンジ色の日よけが張り出しています。
右手に目を移すと、『CARAMEL BONBON』の看板。
キャラメルとボンボン、つまりお菓子屋さんです。
その隣が『Charbons-Cafe』、さらに上には『HOTEL』の赤い文字が並びます。
坂の下の擁壁には『BOUTIQUE』の文字が大きく描かれています。
通りには円柱の広告塔が立ち、『THEATRE』『MODE』の告知を巻きつけています。
学校があって、パン屋があって、お菓子屋があって、そのあいだに下り坂がある。
私にはこれが、学校帰りの子が家までまっすぐ帰れなくなる道に見えるんです。
現に、緑のベンチには腰を下ろした大人が何人もいて、犬を連れた人が立ち止まり、誰も先を急いでいません。
雪が降っているのに、この街の人たちは、まだ帰っていない。
そういう時間が描かれています。
飾ってみると、この「まだ帰っていない感じ」が暮らしの中で効いてきます。
たとえば冬の夕方、廊下の電気をつけて前を通ると、まず雪の白が目に入る。
そして玄関のほうで物音がして、家族が帰ってくる。
そういう絵なんです。
⑤ 画面のいちばん上に、白を置くという難所
さらにこの絵がすごいのは、この雪をシルクスクリーンという版画で組み上げているところなんです。
どういうことか?というと、シルクスクリーンは色ごとに版を分け、一色ずつ刷り重ねていく技法です。
型紙を当てて、その上から一色だけを通す。
それを寸分の狂いもなく、何度も繰り返していく作業だと思ってください。
ヒロ・ヤマガタは、この重ねる回数が桁外れの画家として知られています。
一般的な多色刷りが20色前後とされるなかで、本人が「作品には100色以上使っている」と語ってきました。
そして本作の難所は、その色数ではなく、白なんですね。
降る雪の粒が、空にも、屋根にも、看板の上にも、人の肩の上にも散っています。
つまり白い粒は、街のあらゆる色の一番上に乗ることになる。
一粒でも位置がズレれば、雪が建物の輪郭からはみ出して、画面全体が汚れたように見えます。
しかも、この絵の雪の白と、建物の壁のクリーム色と、空の灰色は、明るさがとても近い。
近い明るさの色を版で分けて、それでも「これは壁、これは空、これは雪」と見せ分ける。
このさじ加減が効いているから、雪の粒だけが浮き上がって見えるのだと私は見ています。
版画は、原画の安い代わりではありません。
作家が自分の表現を余すところなく届けるために選んだ、もうひとつの完成形です。
だからこそ、余白の直筆サインは「基準に届いた刷りだけが世に出た」という、作家自身の合格印になるんですね。
⑥ 灰色の絵なのに、寒くない理由
・・・と、ここまでで技法の話をお分かりいただけたかと思いますが、この一枚でいちばん語りたいのは、体温の話です。
画面を遠くから見ると、この絵はほとんど白と灰色とクリーム色でできています。
冷たい色ばかりなんです。
ところが、実際に部屋に飾ると、不思議と寒くならない。
理由は、暖かい色の置き方にあります。
『HOTEL』の赤い文字。
パン屋のオレンジの帯。
坂を滑る赤いそり。
そして、店先からこぼれる黄色い窓の灯り。
どれも面積としては小さくて、画面の一割にも届きません。
けれど、まわりが全部冷たい色だから、その小さな赤や黄色が実際より熱く感じられるんですね。
ドキッとするような赤ではなく、手をかざしたくなる赤です。
時間帯によって、この関係は入れ替わります。
朝、自然光が入る部屋では、灰色が青みを帯びて、雪の粒がはっきり立ち上がってきます。
画面全体が、雪の降りはじめの澄んだ空気になる。
ところが夜、照明を落とすと灰色が沈み、赤い文字と窓の黄色だけが点々と残って見えてくるんです。
朝は「雪の絵」、夜は「灯りの絵」。
一枚で二つの季節感を持っています。
じっと見ていると、雪の日に外へ出たときの、あの音が一段減る感じまで戻ってきます。
手袋越しに鉄の手すりを握った、あの冷たさも。
冷たいのに、帰りたくならない。
この一枚を長く飾っていられる理由は、たぶんそこにあります。
⑦ 名所を霞ませて、暮らしを灯す
もうひとつ、見落としやすい場所があります。
画面の上のほう、灰色の空です。
エッフェル塔が、雪の向こうにうっすらと立っています。
同じ絵の中で、パン屋の日よけのほうがくっきり見えているのに、です。
②でお話ししたとおり、この一枚が刷られた1988年、ヒロ・ヤマガタは「エッフェル塔100周年」の公式作品を手がけていました。
塔を主役に描く仕事を任されていた年に、自分の一枚では塔を後ろへ下げている。
これは記録ではなく私の見立てですが、この画家がパリで見ていたのは、絵はがきのパリではなかったのだと思います。
学校帰りの坂、パン屋の匂い、キャラメルの看板、そして雪の日に外へ出てくる子どもたち。
塔は霞み、窓が灯る。
住んだ人にしか描けない優先順位が、この一枚には出ています。
⑧ この絵には、どんな額が合う?
ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。
雪を切り取る『ホワイト額装』
まずは定番の、オフホワイトの額装です。
真っ白ではなく、少しだけ落とした白を使うのがこの作品のポイントになります。
というのも、この絵の主役は降る雪の白だからです。
額まで純白にしてしまうと、いちばん見せたい雪の粒が枠の白に混ざって、輪郭が甘くなってしまうんですね。
わずかに落とした白なら、額は静かに引き下がり、画面の中の雪がその部屋でいちばん白いものになります。
壁に、冬の一角がまるごと切り抜かれて掛かっているように見えてきます。
おすすめは、家族が集まるリビングです。
朝の陽が入る時間には、白い額が光を返して、坂を滑る子どもの服の色まではっきり見えます。
夜、あかりを落とすと、白い枠だけが淡く残り、店の窓の黄色が舞台の照明のように浮かび上がります。
前を通りかかった家族が足を止めて、「この坂、滑ったら気持ちよさそう」と言い出す。
そこから雪国の思い出話が始まってしまって、夕飯の時間がずれる。
そういう会話が生まれる一枚です。

降る空をつなぐ『インディゴ額装』
明るい雪の絵に、濃い紺の額?と思われるかもしれませんが、この作品にはあえて深い藍を合わせる案をおすすめしたいんです。
理由は、この絵の空が「白」ではなく「灰色」だからです。
灰色の空の外側に藍を置くと、空の色が藍のほうへ一段深く引かれて、画面全体が夕暮れ寄りに沈みます。
そのぶん、雪の粒と窓の灯りだけが、壁の中に浮かんで見えてくるんですね。
明るい絵なのに、部屋のほうは静かなまま。
そういう収まり方をします。
これが似合うのは、応接室や書斎です。
昼は窓の光で藍がわずかに青みを見せ、夜は間接照明の下で、ほとんど黒に沈みます。
来客がソファに腰を下ろした瞬間、視線が壁へ吸い寄せられて、「これ、パリの雪ですか」と自然に口が開く。
言葉より先に、その部屋の温度が伝わる組み合わせです。

パン屋の灯を運ぶ『テラコッタ額装』
3つめは、少し意外に思われるかもしれませんが、素焼きの器のような赤茶色、テラコッタ額装です。
この絵の中でいちばん手前にある暖かい色は、パン屋の日よけのオレンジでした。
その色を額のほうへ引っ張り出してやると、画面の外側にもう一枚、暖かい壁ができるんですね。
赤茶といっても鮮やかな赤ではなく、土の色です。
だから絵の赤い文字と喧嘩せず、雪の白をやわらかく受け止める側に回ってくれます。
おすすめは、木の家具を使ったカフェやベーカリー、待合の空間です。
昼は木のテーブルと並んで穏やかに沈み、夜は照明を受けて縁だけが赤みを増します。
コレクターとして自宅に絵を掛けてみて感じるのは、額を替えた瞬間に、部屋の気温まで変わってしまうことなんです。
私自身、届いた日に飾る場所を決めきれず、壁を変えては離れて眺め直した覚えがあります。
席についたお客様が、注文したことを忘れて、しばらく絵の中の坂を目で滑っている。
そんな時間を作ってくれる組み合わせです。

⑨ まとめ
雪が降り、子どもが坂を滑り、パン屋とお菓子屋に灯りがともる。
その全部の向こうで、エッフェル塔だけが静かに霞んでいます。
塔は霞み、窓が灯る。
だからこの絵は、名所の絵ではなく、その街で暮らした人の絵になっているんですね。
朝は雪の絵、夜は灯りの絵。
それは、買った人だけが知る顔です。
そして、この『そりあそび』は、いまはどこかで、次の持ち主を静かに待っている一枚です。
名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。
だからこそ、先に「私はこの絵を待っています」と教えておいていただくことで、当ギャラリーはその瞬間にまっ先にご連絡できます。
この作品を、あなたのためにお探しします。
ご相談は無料です。
しつこい営業は、いたしません。
すぐのご用意はお約束できませんが、あなたの一声があって初めて、この一枚は「あの方のための冬だ」と、探し当てることができます。
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よくあるご質問
この作品は本物ですか?
はい、ヒロ・ヤマガタの本物のシルクスクリーンです。お探しした個体をご案内する際は、一点ごとに直筆サインの有無・エディション番号・状態と真贋を確認したうえでお伝えします。
いますぐ購入できますか?
いいえ、本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする「お探しリクエスト」の作品です。ご希望を伺ってから国内外のネットワークでお探しし、見つかり次第、価格とともにご連絡します。数ヶ月かかることも、見つからない場合もございますが、ご相談・調査は無料です。
限定295部のうち、何番の作品が届きますか?
エディション番号は、お探しした個体によって異なります。本作は1988年に295部で刷られた作品で、番号の指定は承れませんが、確保できた時点で番号と状態をあわせて正直にお伝えします。
額装は変更できますか?
はい、額装のご相談を承っております。本記事でご紹介した3案以外でも、飾る部屋の壁色や家具に合わせてご提案いたします。お探しした個体をご案内する際に、あわせてご相談ください。
送料はかかりますか?
国内は送料無料でお届けしております。額装済みの作品を、専用の梱包でお送りします。
明るい雪の絵は、壁が白いと見えにくくなりませんか?
額の色で解決できます。白い壁に掛ける場合は、額を深い藍や赤茶にすると画面の外側に輪郭ができ、雪の白がいちばん明るいものとして立ち上がります。逆に壁色が濃い部屋では、わずかに落としたオフホワイトの額が作品と壁のあいだをつなぎます。
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