【急がない駅を、壁に飾る】ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』シルクスクリーンのご紹介|やまアートギャラリー

ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。

やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。

本日も心に残る一枚をお届けします。

ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』は、1986年制作・限定295部のシルクスクリーンです。モネが1877年に連作を描いたパリの駅を、その約110年後に『駅の外の広場』として描いた一枚で、急ぐ人がひとりもいない祝祭のような画面が特徴です。作品下部に直筆サインとシリアルナンバーが入り、額装済みでお届けします。

この記事でわかること

  • ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』の制作年・限定部数・サイズ・状態といった基本情報
  • モネが1877年に描いた同じ駅と、ヤマガタが1986年に描いた駅の決定的な違い
  • 『100色以上』と紹介されるヤマガタのシルクスクリーンが、何をしている技法なのか
  • ヤマガタ・ブルーの空と駅舎の黄土色が、朝と夜で入れ替わる色の仕組み
  • 3パターンの額装提案と、空間シミュレーション画像

ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』シルクスクリーンの全体像。パリの駅舎とにぎわう広場

本日のご紹介作品

本日ご紹介する作品は、ヒロ・ヤマガタ氏の『サン・ラザール駅』という作品です。

駅を描いた絵です。

なのにこの画面には、急いでいる人がひとりもいません。

切符を握って走る人も、時計を見上げて焦っている人もいない。

風船を眺めたり、自転車を停めて空を見上げたり、車の脇で話しこんだりしています。

正直に言うと、初めてこの絵を見たとき、駅前の広場を10分ほど目で歩き回ってしまいました。

今日この一枚を知っていただくと、絵は『眺める』だけでなく『散歩できる』ものだと感じていただけると思います。

この作品は、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』で取り扱い中です。

▶ 作品ページはこちらからご覧いただけます

パリからロサンゼルスへ、色で旅をした画家

ヒロ・ヤマガタ(本名・山形博導)は、1948年に滋賀県で生まれた画家です。

1972年に渡欧し、翌1973年にはパリ国立美術学校(エコール・デ・ボザール)の聴講生となりました。(出典:おいだ美術 作家年譜)

1978年にロサンゼルスへ移住し、以後アメリカを拠点に活動を続けています。(出典:おいだ美術 作家年譜)

1983年には、作品『エアーショー』が人類飛行200周年記念の祝典ポスターに選ばれました。(出典:おいだ美術 作家年譜)

このころ確立された鮮やかな青は、のちに『ヤマガタ・ブルー』と呼ばれるようになります。(出典:緑和堂 作家解説)

翌1984年には、アメリカのロードアイランド州が9月21日を『ヒロ・ヤマガタの日』に定めています。(出典:正光画廊 作家略歴)

そして本作が制作された1986年は、自由の女神100周年記念の公式ポスター原画を手がけた年でもあります。(出典:アート買取協会 作品解説)

日本に生まれ、パリの街を描き、アメリカの記念事業を託される。

その只中の一年に、この駅は刷られました。

数字と事実で見る『サン・ラザール駅』

まず、この作品の基本情報を整理しておきます。

  • 作家:ヒロ・ヤマガタ(1948年 - )
  • タイトル:サン・ラザール駅
  • 制作年:1986年
  • 技法:シルクスクリーン
  • エディション:限定295部
  • サイズ:75.6cm × 75.6cm
  • 体裁:額装済み
  • 署名:作品下部に直筆サイン、シリアルナンバー
  • 状態:描写部にごくわずかなインク飛び、マージンに1か所小さな点シミ

限定295部と聞くと多く感じるかもしれませんが、これは世界に向けた総数です。

しかも制作から40年近くが経っています。

日に焼けたもの、手放されないまま壁に残り続けているものを思うと、当時のままの一枚に出会える機会は、けっして多くありません。

コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、1980年代のヤマガタは、探して出会う作品というより、出会ったときに決める作品なんですよね。

・・・ただ、数字で語れるのはここまで。

ここからは、なぜこの画家が『駅』を描いたのか、その話に迫っていきたいと思います。

モネが描いた駅を、110年後に

画面の正面にそびえているサン=ラザール駅は、パリに実在する駅です。

1837年に開業した、パリで最初に建設された駅で、ノルマンディーの海岸へ向かう路線の発着点でした。(出典:ポーラ美術館 作品解説)

この駅には、美術の世界でもうひとつ有名な顔があります。

クロード・モネが1877年の1月から4月にかけて、この駅の連作を12点も描いているんです。(出典:ポーラ美術館 作品解説)

同じ年の4月、その一部が第3回印象派展に出品されました。(出典:ポーラ美術館 作品解説)

モネが描いたのは、駅の『中』でした。

ガラス屋根の下にたちこめる蒸気、ホームに入ってくる機関車、煙にかすむ人影。

その約110年後、ヒロ・ヤマガタが描いたのは、駅の『外』です。

主役は蒸気ではなく、人です。

石造りの駅舎が正面にどっしりと構え、その手前の広場に、数えきれないほどの小さな人たちがいます。

風船を売る人、自転車を押す人、クラシックカーの脇で立ち話をする人。

空にはターコイズブルーが広がり、小さな飛行機が『HAPPY BIRTHDAY』の垂れ幕を引いて横切っていきます。

モネは駅を『出発する場所』として描きました。

ヤマガタは駅を『集まる場所』として描いたように感じられます。

飾ってみると、この違いが効いてきます。

朝、支度をしながら前を通ると、絵の中の広場だけが、いつまでも休日のままなんです。

こちらは急いでいるのに、あちらは急いでいない。

その落差が、不思議と一息つかせてくれます。

網の目を、色の数だけ重ねる

さらに惹かれるのは、この密度がシルクスクリーンで刷られていることです。

どういうことか?というと、細かな網の目を張った版の上からインクを押し出して、紙に色を置いていく技法なんですね。

Tシャツにプリントを入れる工程を思い浮かべていただくと、原理はほとんど同じです。

ただし、色の数だけ版を用意し、それを一枚の紙の上で重ねていきます。

ヤマガタのシルクスクリーンは、画廊の作品解説で『100色以上の色彩』と紹介されることの多い作品群です。(出典:緑和堂 作家解説)

その枚数の版を、寸分たがわず重ねていく。

1回でもずれれば、駅舎の窓枠は二重になり、人の顔はにじみます。

この画面には、傘の柄より細い線が何百本と走っています。

その全部が、ずれずに立っている。

近くで寄ると、点にしか見えなかった人影が、帽子をかぶり、荷物を提げていることがわかります。

遠目には一枚の街ですが、手前で見ると、色が何層も畳み込まれた工芸品です。

ヤマガタ・ブルーと、街の灯り

色の話をさせてください。

この絵でいちばん広い面積を占めているのは、空のターコイズブルーです。

『ヤマガタ・ブルー』と呼ばれる、あの青ですね。

その下に、駅舎の黄土色があります。

石造りの建物が午後の光を吸って、蜂蜜のような色に見えています。

そして地面の近くに、赤や朱色が点々と散っています。

商店の日除け、車のボディ、通りを歩く人の服。

上が涼しく、真ん中が暖かく、足元がにぎやか。

視線は自然に上から下へ降りて、また空へ戻ってきます。

朝の光の中では、空の青がいちばん強く出ます。

部屋に、風の通った駅前の空気が立ち上がります。

夜、照明を落とすと今度は青が沈み、駅舎の黄土色と赤い庇だけが残ります。

街灯が灯ったあとの駅前に、色が入れ替わるんです。

一日のうちに、同じ絵の中で朝と夕方が入れ替わる。

にぎやかな絵なのに、そばにいると気持ちがほどけていく。

急ぐ理由のない人たちが、ずっとそこにいるからなんですね。

見つけるたびに、絵が増えます

この作品には、もうひとつの楽しみ方があります。

探し絵として遊べるんです。

空の飛行機が引いている『HAPPY BIRTHDAY』の文字。

屋根の上をふわりと横切っていく、赤い風船がひとつ。

地下鉄の入口、街灯にもたれる人、駅舎の右上でこちらを向いている時計。

シャンパンの看板、停めたままの自転車、開いたままのカフェの日除け。

一度で全部は見つかりません。

飾って三日目に「こんなところに犬がいた」と気づきます。

一週間目に、広場の隅でもう一組、話しこんでいる二人を見つけます。

美術館では、これができないんですよね。

ガラス越しに一定の距離が要りますし、後ろには次の人が待っています。

自宅の壁なら、朝でも夜でも、鼻先まで近づいて探せます。

版画は、その差を埋めるために作者が選んだ、もうひとつの完成形だと私は考えています。

この絵にはどんな額が合う?

ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。

マットの色はどの案もオフホワイトで統一し、額縁の色だけを変えています。

空を広げる『ホワイト額装』

まず王道は、白の『ホワイト額装』です。

推奨空間は、家族が集まるリビングです。

この作品は正方形で、上半分がまるごと空になっています。

外側に白を置くと、画面の外にもう一段明るい面ができて、空がその先まで続いているように見えてきます。

色数の多い絵ですから、周りは静かなほうがいい。

朝は白が光を受けて画面ごと持ち上がり、夜は照明の下で乳白に落ち着きます。

ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』ホワイト額装×リビング設置イメージ

実は私自身、自宅用に初めて絵を選んだとき、妻と二人で梱包を解いた瞬間に驚いたことがあります。

遠目では一色に見えていたところに、近づくと何色もの色が重なっていたんです。

版画とは思えない質感で、そのまま一時間近く二人で眺めていました。

この絵も、まさにその質感を持っています。

家族の集まる壁に掛けておくと、誰かが必ず近寄って、指をさして「これ何だろう」と言い出します。

推奨空間:家族が集まるリビング

石の色を借りる『アンティークゴールド額装』

変化球のひとつめは、くすんだ金の『アンティークゴールド額装』です。

推奨空間は、応接室や書斎です。

金の額?と思われるかもしれませんが、この絵の主役である駅舎は、まさに古い金色をしています。

パリの石造建築が午後の光を受けたときの、あの落ち着いた黄土色ですね。

額縁にその色を持ってくると、建物の重みが額の外まで続いて、画面がぐっと格を上げてくれます。

ぴかぴかの金ではなく、時間の入った金であることが大事なんです。

ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』アンティークゴールド額装×応接室設置イメージ

昼は自然光で控えめに沈み、夜は照明を受けて駅舎と一緒に浮かび上がります。

来客が「これ、パリですか」と足を止める。

そこから話が始まる一枚になります。

推奨空間:応接室・書斎

空をもう一枚重ねる『水色額装』

もうひとつは、淡い青の『水色額装』です。

推奨空間は、カフェやショップの一角です。

絵の中の空と同じ色を、額でもう一度なぞる案ですね。

そうすると、壁に四角い窓がひとつ空いたように見えてきます。

白壁のカフェに掛けると、木のテーブルや観葉植物と青が呼応して、店内に涼しい一角が生まれます。

ヒロ・ヤマガタ『サン・ラザール駅』水色額装×カフェ設置イメージ

昼は外光を受けて軽やかに、夕方は照明が落ちるほど、その窓だけが明るく残ります。

「あの絵、どこの街ですか」

コーヒーを待つお客様が、そう声をかけたくなる場所ができます。

推奨空間:カフェ・商業空間

まとめ

駅を描いた絵なのに、誰も急いでいない。

風船を売る人がいて、自転車を停めて空を見上げる人がいて、その上を『HAPPY BIRTHDAY』の飛行機が横切っていく。

『誰も急がない駅』。

それが、この一枚がまとっている空気の正体だと考えています。

そして絵そのものにも、暮らしてみないと見えてこない顔があります。

朝は空の青が立ち上がり、夜は駅舎の金色だけが残る。

三日目に犬を見つけ、一週間目にもう一組の会話を見つける。

それは、買った人だけが知る顔です。

1986年の作品で、世界に295部。

40年近く前の版画ですから、当時のままの一枚に出会える機会は、静かに減っていきます。

失われたら二度と手に入らないかもしれない機会を、ぜひ確かな体験に変えてください。

この作品の詳細・ご購入はこちらから

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よくあるご質問

この作品は本物ですか?

はい、作品下部にヒロ・ヤマガタの直筆サインとシリアルナンバーが記された、限定295部のシルクスクリーン作品です。やまアートギャラリーでは、すべての作品を店主が一点ずつ検品してからお届けしています。

1986年の作品ですが、状態はどうですか?

描写部にごくわずかなインク飛びと、マージンに1か所の小さな点シミがございます。それ以外は良好な状態で、額装済みでお届けします。気になる点は事前に詳しくお伝えできますので、お気軽にお問い合わせください。

額装は変更できますか?

はい、額装のご相談を承っております。本作は額装済みでのお届けですが、飾る空間に合わせた新品額装への交換もご相談いただけます。記事内で3パターンの額装イメージをご紹介していますので、あわせてご覧ください。

送料はかかりますか?

送料は無料です。販売価格がそのままお支払金額となります。ご希望の方には領収書の発行も承っております。なお、お支払い確認後、6〜7週間前後でのお届けとなります。