【脱力が部屋をゆるめる】トム・エバハート『(Who Gets) The Last Laugh 8』アクリル原画のご紹介
ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。
やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。
本日も心に残る一枚をお届けします。
本日ご紹介するのは、トム・エバハート(Tom Everhart/1952- )のアクリル原画『(Who Gets) The Last Laugh 8』です。画面には赤い線で額縁が描かれ、その中に色とりどりの点が帯となって並びます。ところが主役のスヌーピーは枠に収まらず、手足を白い余白へ投げ出しています。世界に1点の原画で、本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする作品です(ご相談無料)。
この記事でわかること
- トム・エバハートがどんな画家か(イェールで絵画を学び、シュルツから線そのものを受け継いだ唯一の画家)
- 『(Who Gets) The Last Laugh 8』の基本情報(アクリル原画・世界に1点・縦76cm×横102cm・直筆サイン入り・本物証明書付属)
- 画面に描かれた二重の枠と、そこからはみ出して寝そべるスヌーピーという構図の読み方
- 版のないアクリル原画で、ゆっくり置いた点と一息で走らせた線をどう両立させているか
- 画面の大半が白なのに、遠くからでも色が飛び込んでくる理由と、朝夜で入れ替わる見え方
- 題名の「最後に笑うのは誰か」と、8番だけが持つ答え
- この作品に合う額装3パターンと、飾ったときの空間の変化

① 本日のご紹介作品
本日ご紹介する作品は、トム・エバハート氏の『(Who Gets) The Last Laugh 8』です。
まず、画面の真ん中に描かれた額縁を見てください。
赤い線が波打ちながら四角をつくり、その内側には色とりどりの点が帯になって並んでいます。
きちんと飾られた一枚の絵、という体裁です。
ところが、その中にいるスヌーピーが、収まっていません。
頭は枠の中にあるのに、手足は枠を越えて、白い余白へだらりと投げ出されています。
私がこの絵から受け取ったのは、『枠からはみ出した脱力』でした。
正直に言うと、最初に見たとき、思わず頬がゆるみました。
背筋を伸ばして向き合う絵ではなく、こちらの肩の力まで抜いてくる絵だったんです。
今日この一枚の仕掛けを知っていただくと、部屋に飾る絵の選び方に『ゆるめる』という基準がひとつ増えると思います。
そして、この作品には先にお伝えしておきたいご案内があります。
本作は当ギャラリーが「あなたの専属」としてお探しする一枚で、いますぐカートに入れてお届けできるものではありません。
ご希望を先に伺っておくことで、はじめて確保のご連絡ができます。
ご相談は無料です。
商品ページはこちらです。
https://yama-art.shop-pro.jp/?pid=192978755
② 絵画を学び切った人が、スヌーピーを描いている
トム・エバハートは1952年5月21日、アメリカ・ワシントンD.C.に生まれた画家です。
1970年にイェール大学の美術・建築学部へ進み、1976年に同大学院の課程を修了しています。
その後はパリへ渡り、オランジュリー美術館で研究を続けました。
つまり、漫画の側から出てきた人ではないんですね。
絵画の教育を最後まで受けた画家が、1980年にチャールズ・M・シュルツと出会います。
依頼を受けた『ピーナッツ』の原稿を引き伸ばし、25フィート、およそ7.6メートルの壁に貼ったときのことを、本人がこう振り返っています。
「引き伸ばしたあの一枚から、私は先へ進めなかった。何時間もその前に座っていた。そこを離れた記憶すらない」
(出典:Ocean Blue Galleries 掲載の作家コメント)
そして1991年、シュルツとユナイテッド・メディアは、『ピーナッツ』の題材を生涯にわたって使う権利をエバハートに認める契約を交わしました。
その前年、1990年1月にはルーヴル美術館で初個展が開かれています。
キャラクターを借りて描く画家ではなく、線そのものを受け継いだ、ただ一人の画家です。
その画家が、この一枚では枠ごと画面に描き込んできます。
③ 数字で見る『(Who Gets) The Last Laugh 8』
まず、この作品の基本情報を整理します。
- 作家:トム・エバハート(Tom Everhart/1952- )
- 作品名:(Who Gets) The Last Laugh 8
- 技法:アクリル原画
- エディション:なし(世界に1点)
- 寸法:縦76cm × 横102cm
- 署名:作家の直筆サインあり
- 付属:本物証明書
目を留めていただきたいのは、横102cmという幅です。
大人が両腕を軽く広げたくらいの大きさで、壁の主役として設計された寸法なんですね。
そして版画と違い、この作品には限定部数がありません。
750部や125部といった数字が、版画では希少性の説明になります。
原画に付く数字は、1だけです。
コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、原画は「次の入荷を待つ」という考え方が最初から通用しないんですよね。
・・・ただ、数字で語れるのはここまで。
ここからは、この画面の中で何が起きているのか。
その話に迫っていきたいと思います。
④ 額の中に、収まりきらなかった一匹
画面には、枠が二重に描かれています。
内側は細い直線の矩形で、白い台紙のように見えます。
その外側を、赤い線が手描きのまま波打って囲っています。
そして二つの枠のあいだには、黒いリボン状の渦と、水色と淡い黄色の帯がぐるりと巻きついています。
パーティーの飾りつけを、そのまま額の装飾に使ったような場所です。
内側へ目を移すと、赤・黄・緑・桃色の点が、横の帯になって何段も並んでいます。
紙吹雪が空中で止まったようにも、色を並べた首飾りのようにも見えます。
その帯の上に、スヌーピーが寝そべっています。
黒い筆で引かれた大きな耳とマズルは、枠の中にあります。
ところが体の下半分は、枠の線を越えて、右下の白い余白へ流れ出しているんです。
さらによく見ると、赤い枠線は右側で一度途切れています。
その途切れたところを、黒い腕が横切っていく。
枠のほうが、この一匹を押さえきれなかったように見えるんですね。
飾るために枠を用意したのに、飾られる側が寝そべって、そこからはみ出してしまった。
私はこの一枚を、『笑い終えたあとの時間』を描いた絵として見ています。
飾ってみると、この時間の感じが暮らしのなかで効いてきます。
夕食の片付けを終えて椅子に座り直したとき、正面でこの一匹も同じ格好をしている。
一日の終わりに、自分より先に力を抜いているものが部屋にいる。そういう絵なんです。
⑤ 消せない絵具で、はみ出させている
さらにすごいのは、この『はみ出し』が、やり直しのきかない条件で描かれているところなんです。
どういうことか?というと、本作はアクリル絵具で紙に直接描かれた原画で、版がありません。
版画であれば、色ごとに版を分け、同じ順番で刷り重ねることで同じ絵がもう一度立ち上がります。
うまくいかなければ、次の紙で刷り直せます。
原画には、その逃げ道がないんですね。
しかもアクリル絵具は、乾くのがとても速い。
置いた線を拭き取って元に戻すことが、ほとんどできません。
ここで、色の点の帯をもう一度見てください。
粒が一段ごとに大きさを変えながら、それでも横の並びを崩さずに続いています。
一粒ずつ、置いては離し、置いては離しを繰り返した跡です。
そして黒い線のほうは、正反対の速さで引かれています。
耳から背中へ抜ける一本には、途中で筆圧のゆるんだ場所があり、そこだけ線が細く透けています。
止まった手ではなく、走った手の跡なんですね。
ゆっくり置いた点の上を、速い線が一息で渡っていく。
その速度差があるから、投げ出された姿勢が、だらしなくではなく軽やかに見えるのだと私は見ています。
⑥ 白がいちばん広く、点がいちばん大きな声
・・・と、ここまでで技法の話をお分かりいただけたかと思いますが、この一枚で本当に語りたいのは、色の話です。
離れて見ると、この絵はほとんど白でできています。
面積でいえば、色の点はごくわずかです。
ところが部屋に掛けると、離れた場所からでも、まず色のほうが目に飛び込んできます。
理由は、白がその色を邪魔しないからです。
赤、黄、緑、桃色。
隣り合えば普通はぶつかる色なのに、一粒ずつ白で切り離されているので喧嘩になりません。
色がぶつかるかわりに、順番に聞こえてくるんですね。
音でいえば、和音ではなく、鍵盤を端から順に叩いていく感じです。
そして黒の役割は、影ではありません。
この絵の黒は、骨です。
色の帯に投げ出された一匹を、輪郭だけで立ち上がらせています。
その全部を、赤い枠線がゆるく囲っている。
時間帯によって、この関係は入れ替わります。
朝、外光の入る部屋では白が一段明るくなり、点の色が生々しく立ち上がります。
画面が、始まったばかりのパーティーになる。
ところが夜、照明を落とすと白が沈み、黒い線と赤い枠だけが残って見えてくるんです。
こちらは、賑わいが引けて椅子だけが残った部屋のようです。
朝は賑わい、夜は余韻。
一枚で、同じ時間の前半と後半を持っています。
じっと見ていると、笑いすぎて息が切れたあとの、あの喉の渇き方まで戻ってきます。
肩の力が抜けて、椅子の背に体をあずけた瞬間の軽さも。
⑦ 題名の「8」と、この一枚の答え
題名の『(Who Gets) The Last Laugh』は、日本語にすれば「最後に笑うのは誰か」です。
先に笑われた側が、最後に形勢をひっくり返して笑い返す。
そういう逆転の場面を指す英語の言い回しですね。
そして題名の末尾には、8という番号が付いています。
同じ問いを、番号を変えながら何度も描き直しているということです。
当ギャラリーでも、この『Last Laugh』シリーズの別番号を何点かご紹介してきました。
並べて見ていて気づくのは、多くの番号では、まだ勝負がついていないことです。
顔と顔が向き合っていたり、額の内と外でにらみ合っていたりします。
ところがこの8番では、誰とも向き合っていません。
一匹きりで、笑い終えて伸びています。
これは記録ではなく私の見立てですが、この一枚だけは、答えが出たあとの時間を描いているのだと思います。
最後に笑った者は、勝ち誇りません。
ただ、力を抜いて寝そべる。
飾った初日、題名はまだただの札です。
半年も経つと、家のなかの合図に変わります。
「今日はこっちが、最後に笑ったほうだな」
そんな一言が出るようになったら、この絵はもうその家のものです。
⑧ この絵にはどんな額が合う?
ここからはこの作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。
白を白のまま残す『ホワイト額装』
まずは定番の、オフホワイトの額装です。
真っ白ではなく、ほんの少し落とした白を選ぶのが、この作品でのポイントになります。
というのも、この絵は面積の大半が白だからです。
額まで純白にしてしまうと、画面の白と枠の白が地続きになり、どこまでが作品なのかが曖昧になってしまいます。
わずかに落とした白なら、額は静かに一歩下がり、絵の中の白がその部屋でいちばん明るい白になります。
すると、色の点と黒い線だけが浮き上がって、壁に空白がぽっかり空いたように見えてくるんですね。
おすすめは、家族が集まるリビングです。
朝の光が入る時間には、白い額が光を返して、点の一粒ずつまで色が見分けられます。
夜、あかりを落とすと白い枠だけが淡く残り、黒い線で描かれた寝そべった姿が、輪郭だけで浮かんできます。
前を通りかかった家族が足を止めて、「これ、完全にくつろいでるね」と笑い出す。
そこからその日あったことの話が始まってしまい、テレビをつけるタイミングを逃す。そういう会話が生まれる一枚です。

線を外へ継ぐ『赤色額装』
明るい絵に濃い赤の額?と思われるかもしれませんが、この作品にはむしろ赤が効きます。
理由は、絵の中にすでに赤い枠線が描かれていて、しかもそれが右側で途切れているからです。
作家が引きかけて止めた線を、本物の額が外側でもう一周だけ引き直してやる。
そういう関係になります。
深い赤といっても鮮やかな朱ではなく、重さのある赤です。
だから画面の中の赤い点と張り合わず、白の余白を落ち着いて受け止める側に回ってくれます。
似合うのは、応接室や書斎です。
昼は窓の光で赤がわずかに明るみ、夜は間接照明の下でほとんど暗い茶色まで沈みます。
来客がソファに腰を下ろした瞬間、視線が壁へ吸い寄せられて、「これ、スヌーピーですよね」と自然に声が出る。
その次に必ず、「なんでこんなに力が抜けてるんですか」と続きます。
私自身、自宅に絵を迎えたとき、飾る場所を決めきれずに壁を変えては離れて眺め直した覚えがあります。
そうやって迷った時間の分だけ、掛けたあとに何度も見てしまうようになるんですよね。

色を休ませる『セージグリーン額装』
3つめは少し意外に思われるかもしれませんが、ハーブのようにくすんだ緑、セージグリーンの額装です。
この絵の点は、彩度の高い色ばかりが並んでいます。
その外側にくすんだ緑を置くと、色の帯が一段静かになり、画面全体が音量を絞ったように整います。
賑やかさは残したまま、部屋のほうはうるさくならない。
そういう収まり方をしてくれます。
おすすめは、木のテーブルを使ったカフェや、待合のある空間です。
昼は木の家具と並んで穏やかに沈み、夜は照明を受けて縁だけがわずかに明るみます。
席についたお客様が、注文したことを忘れて、しばらく絵の中の一匹を眺めている。
そして連れの方に「あれ、真似したくなるね」と話しかける。そんな時間を作ってくれる組み合わせです。

⑨ まとめ
赤い枠が四角を描き、色の点が帯になって並び、その上で一匹が寝そべっています。
頭は枠の中、手足は枠の外。
枠からはみ出した脱力が、そのまま部屋の空気をゆるめてくれます。
朝は賑わい、夜は余韻。
それは、買った人だけが知る顔です。
贅沢に大金をかけなくても、目線の先に好きなものが一枚あるだけで、一日の終わり方は変わります。
そして、この『(Who Gets) The Last Laugh 8』は、版のない原画です。
同じ絵がもう一枚立ち上がることは、構造上ありません。
名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。
だからこそ、先に「私はこの絵を待っています」と教えておいていただくことで、当ギャラリーはその瞬間にまっ先にご連絡できます。
この作品を、あなたのためにお探しします。ご相談は無料です。しつこい営業は、いたしません。
すぐのご用意はお約束できませんが、あなたの一声があって初めて、この一枚は「あの方のための脱力だ」と、探し当てることができます。
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よくあるご質問
この作品は本物ですか?
はい、トム・エバハートの本物のアクリル原画です。本作には作家の直筆サインがあり、本物証明書が付属します。お探しした個体をご案内する際は、一点ごとにサイン・付属品・状態と真贋を確認したうえでお伝えします。
いますぐ購入できますか?
いいえ、本作はいま在庫がなく、当ギャラリーが専属でお探しする作品です。ご希望を伺ってから国内外のネットワークでお探しし、見つかり次第、価格とともにご連絡します。原画は世界に1点のみのため、数ヶ月かかることも、見つからない場合もございますが、ご相談・調査は無料です。
原画と版画(リトグラフ)は、何が違うのですか?
いちばん大きな違いは、同じものがもう一枚存在するかどうかです。版画は版を重ねて刷るため、750部や125部といった限定部数の中の一枚になります。本作のような原画には版がなく、世界に1点だけです。そのぶん、絵具を置き直せない緊張感が画面にそのまま残ります。
額装は変更できますか?
はい、額装のご相談を承っております。本記事でご紹介した3案以外でも、飾る部屋の壁色や家具に合わせてご提案いたします。お探しした個体をご案内する際に、あわせてご相談ください。
送料はかかりますか?
国内は送料無料でお届けしております。額装済みの作品を、専用の梱包でお送りします。
白い壁に飾ると、作品の白と同化してしまいませんか?
額の色で解決できます。白い壁に掛ける場合は、額を深い赤やくすんだ緑にすると画面の外側に輪郭ができ、作品の白がいちばん明るい白として立ち上がります。逆に壁色が濃い部屋では、わずかに落としたオフホワイトの額が、作品と壁のあいだを静かにつなぎます。
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