【影が立たせる光を迎える】トレンツ・リャド『光と影』シルクスクリーンのご紹介

ご来館ありがとうございます、やまアートミュージアム館長の山本です。

やまアートミュージアムは、私が運営するネットショップ『やまアートギャラリー』の魅力をご紹介するオンラインミュージアムです。

本日も心に残る一枚をお届けします。

トレンツ・リャド(J. Torrents Lladó)の『光と影』は、限定275部・71cm角・1998年制作・サイン有りのシルクスクリーン作品です。画面の面積はほとんどが深い緑の暗がりで、明るい場所は中央の石壁だけ。それでも目は一瞬でそこへ行きます。この絵の明るさは明るい色で作られているのではなく、暗さに支えられて立っています。本作は在庫ではなく、ご希望を伺ってからお探しする『専属お探し』作品として承っています。

この記事でわかること

  • トレンツ・リャド『光と影』の基本情報(シルクスクリーン・限定275部・71cm角・1998年・サイン有り)
  • ミロ、ダリに続く3人目としてパリで「パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた画家の歩み
  • 日本で最初に開かれたリャド個展の題が「マジョルカの光と影」だったという事実
  • 画面の四方を囲う青い帯が、飾りではなく「窓枠」として働いているという読み方
  • この作品に合う額装3パターンと、飾ったときの空間イメージ
  • 『専属お探し』の仕組み(無料リクエスト・無保証でお探しします)

トレンツ・リャド『光と影』シルクスクリーンの全体像

本日のご紹介作品

本日ご紹介する作品は、トレンツ・リャド氏の『光と影』という作品です。

この絵は、面積のほとんどが暗がりでできています。深い緑の木立、影に沈んだ下草、黒に近い幹。

それなのに、目は一瞬で真ん中の石壁へ行ってしまいます。

壁のオークル色が、暗い緑に囲まれているからこそ、燃えているように見える。

『影が立たせる光』。この絵の明るさは、明るい色で作られているのではなく、暗さに支えられて立っていると感じています。

正直に言うと、初めてこの絵を見たとき、明るい絵だと思い込んだまま数秒眺めていました。

よく見たら、明るい場所は画面のほんの一部しかなかったんです。

今日この作品を知っていただけたら、絵の「明るさ」は光の量ではなく、影との差で決まる、という見方が一つ増えるかもしれません。

なお、この作品はいま手元にある在庫ではなく、やまアートギャラリーで『専属お探し』として承っている一枚です。すぐのご用意はできませんが、ご希望を伺えれば、あなたの専属としてお探しします。

ミロ、ダリの次に呼ばれた名前

トレンツ・リャド(J. Torrents Lladó/1946-1993)は、スペイン・カタルーニャ地方のバダローナに生まれた画家です。

9歳から絵画の専門教育を受け、バルセロナのサン・ホルヘ高等学校で学びました。在学中から賞を重ね、課程の修了を待たず、19歳で助教授に任命されています。(出典:サンコーアール 作家略歴/絵画買取 獏 作家略歴)

1968年にはマヨルカ島にアトリエを構え、以後この島が制作の拠点になりました。

そして1988年、パリのジャーナリスト協会が選ぶ「パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー」に選出されます。この栄誉を受けたスペイン人の芸術家としては、ミロ、ダリに続く3人目でした。(出典:おいだ美術 作家年譜/リャド大回顧展 公式サイト)

王侯貴族の肖像を任される画家が、同時に、人のいない森の光を描いている。

その両方が同じ人の手から出ていることが、この作品を見るときの前提になります。

数字と事実で見る『光と影』

まず、この作品の基本情報を整理しておきます。

  • 作家:トレンツ・リャド(J. Torrents Lladó)
  • タイトル:光と影
  • 技法:シルクスクリーン
  • エディション:限定275部
  • 画寸:71cm × 71cm(20号大)
  • 制作年:1998年
  • サイン:サイン有り
  • 体裁:あなた専用の新品額装にてご提供

正方形の画面は、リャドの版画に多い判型です。(出典:株式会社シバヤマ 作品データ)

一点、はっきりお伝えしておきたいことがあります。

本作の版が記録されているのは1998年で、リャドが世を去った5年後にあたります。そのため流通している個体には、サインが『夫人サイン』と記録されているものがあります。(出典:株式会社シバヤマ 作品データ)

お探しした個体のサインがどの種別かは、確保した時点で必ずお伝えします。

コレクターとして正直に言えることがあるとすれば、この手の版は、由来を先に開いてくれる相手から迎えるのがいちばん気持ちがいいんですよね。

・・・ただ、数字で語れるのはここまで。

日本で最初に掲げた看板が、この絵の名前だった

リャドが日本で初めて個展を開いたのは1990年11月のことです。

その展覧会には、こういう題が付いていました。

「マジョルカの光と影」。

72点の風景画と7点の肖像画で構成され、リャド自身にとって初めての試みとなる新作シルクスクリーンも、この場で発表されています。(出典:リャド大回顧展 公式サイト/おいだ美術 作家年譜)

つまり『光と影』という言葉は、この画家が日本の壁に最初に掲げた看板そのものなんです。

その言葉を、そのまま題に持つ一枚。

だからこの絵は、モチーフが石壁でも木立でもなく、光と影という関係そのものを描いた作品なのだと見ています。

石壁は、光を受けるために置かれた。木立は、その光を暗さで囲うために置かれた。

飾ってみると、この関係が生活の中で効いてきます。

夕方、部屋の照明をまだ点けていない時間帯に、壁のその一角だけが先に明るく残る。

家の中で、いちばん最後まで日が沈まない場所ができたような感覚になります。

青い帯は、窓枠として置かれている

この絵を見るとき、どうしても後回しになる場所があります。画面の縁を走る、鮮やかな青の帯です。

四方を色で塗りつぶし、中央に主題を描く。これはリャドの代表的な作風のひとつとして知られています。(出典:絵画買取 獏 作家解説)

さらにすごいのは、この帯が「飾り」ではなく「装置」として効いているところなんです。

どういうことか?というと、外周を一色でふさぐと、中央の絵は窓の向こう側に移るからです。

暗い部屋の中から、明るい戸外をのぞいている。あの見え方が、額縁ではなく画面の中で作られています。

そしてシルクスクリーンという技法は、この帯にいちばん厳しく出ます。

細かな網目を張った版の、開けておいた部分だけにインクを押し通す。型紙を当ててスプレーを吹く工程を思い浮かべていただくと、原理は近いです。

木立のような複雑な形は、多少のズレが葉の重なりに紛れてくれます。けれど広い一色の帯は、逃げ場がありません。

わずかなムラも、まっすぐな縁の上では線になって見えてしまう。

ここを均一に置ききれたとき、初めて中央の木漏れ日が「窓の外」として奥へ引っ込みます。

遠目に見ると青い枠ですが、近くで寄ると、青の中に濃淡の筆致が残っているのが見えてきます。

石はオークル、影は青緑

この画面で使われている色は、思っているより少ないです。

まず、石壁のオークル。黄土に白を足したような、乾いた明るさの色です。

そして影のほう。こちらは黒ではなく、青を含んだ深い緑で置かれています。

黒で沈めてしまうと、影はただの穴になる。青緑で沈めると、影の中に空気が残ります。

だから面積の大半が暗いのに、この絵は息苦しくないんです。

朝の光の中では、オークルの壁が白く飛び気味になって、画面が涼しくなります。葉先の黄緑が起きてきて、森の側が賑やかになる。

夜、照明を落とすと、今度は緑が沈んで、石壁だけが橙色に残ります。

同じ壁が、朝は乾いた石灰の匂い、夜は熾火の温度に変わる。一日のうちに、森を歩く午前と、火のそばに座る夜が入れ替わります。

色を意味で読まず、明るい順に目で追ってみてください。そうすると、この絵が『光と影』と名乗る理由が腑に落ちてきます。

主役は石でも木でもなく、そのあいだにある差なんです。

二つの顔を持っていた画家

リャドには、いくつもの呼び名があります。

「ベラスケスの再来」「20世紀最後の印象派」「光の収集家」。(出典:リャド原画展 公式サイト/b-artspace 作家解説)

前者は肖像画に、後者は風景画に向けられた言葉です。

巨匠の流れを汲む完璧なクラシカルの技術と、光を追うモダンな筆致。相反する二つの流れを、どちらも高い完成度で見せた画家はそう多くありません。(出典:株式会社シバヤマ 作家解説)

そして版画は、複製ではありません。作者が自分の表現を余さず届けるために選んだ、もうひとつの完成形だと私は考えています。

原画は世界に一枚で、たいてい誰かの家か美術館にあります。けれど版があれば、この森の光は275の壁へ分かれて届く。

肖像画が王宮に残り、風景画が家の壁に届いた。この画家の二つの顔は、届く先まで違っていたということです。

この絵にはどんな額が合う?

ここからは、この作品にどんな額装が合うのか、私のおすすめを3パターンご紹介させていただきます。(お探しした一枚をお迎えいただいた『その先』を想像する手がかりとして、ご覧ください。)

光の側に寄せる『クリーム額装』

まず王道は、淡い黄みを含んだ『クリーム額装』です。

この絵でいちばん大事なのは石壁のオークルですから、額の側にもその色のいちばん薄いところを置いてあげると、光が画面の外まで続いていきます。

純白ではなくクリームを選ぶのは、壁の明るさが黄を含んでいるからです。白で締めると光が青く冷え、クリームで受けると光が残ります。

リビングの、家族が自然と集まる壁におすすめです。

朝は自然光を受けて画面ごと持ち上がり、夕方は照明を点ける前の時間に、そこだけが先に明るく残ります。

「今日、まだ明るいね」

日が長くなった季節に、家族がそんな話を始める。壁の一角が、季節の目盛りになります。

『クリーム額装』×リビング設置イメージ

絵の中の色を借りる『ロイヤルブルー額装』

変化球のひとつめは、冴えた青の『ロイヤルブルー額装』です。

森と石の絵に青い額?と思われるかもしれませんが、この作品はもともと画面の四方が鮮やかな青で囲われています。

つまり青は、外から持ち込む色ではなく、作者がすでに置いている色なんです。

額縁にその青を延長すると、絵と額の境目がほどけて、窓枠が二重になったように見えてきます。

書斎や、一枚だけを掛ける応接の壁におすすめです。

昼は青が締まって画面が引き締まり、夜は照明を落とすほどに、青が黒へ近づいて石壁だけが残ります。

実は私、自宅用に初めて絵を買ったとき、妻と一緒に額の色を選びました。夜の雰囲気を持つ作品には黒を、対になる一枚には白を。そうやって決めていったんです。

届いてから驚いたのは、遠目には一色に見えた場所が、近づくと何色も重なって計算されていたことでした。

そして夜、照明を落とすと、家がまるで高級レストランのように見える。額の色を一段深く取るというのは、その夜の顔を作る選択だと思っています。

『ロイヤルブルー額装』×書斎・応接設置イメージ

影の側を引き受ける『フォレストグリーン額装』

もうひとつは、深い森の色の『フォレストグリーン額装』です。

この絵の影は黒ではなく、青を含んだ深い緑でできています。

額縁にその緑を置くと、影の側が額まで連続して、明るい石壁の面積が相対的に増えて見えます。

カフェの、少し照明を落とした奥まった席の壁などにおすすめです。

昼は観葉植物と並んで自然に馴染み、夜は緑が壁へ溶けて、石壁だけが浮かび上がります。

「あの絵、夜のほうが明るく見えませんか」

そんな話をお客様どうしが始める席が、一つ増えます。

『フォレストグリーン額装』×カフェ設置イメージ

まとめ

面積のほとんどが暗がりなのに、目は一瞬で石壁へ行ってしまう。明るさは光の量ではなく、影との差で決まっています。

『影が立たせる光』。それが、この一枚が抱えているものだと考えています。

そして絵そのものにも、暮らしてみないと見えてこない顔があります。

朝は石が白く飛び、夜は石だけが橙色に残る。

それは、買った人だけが知る顔です。

この『光と影』は、いま手元にある一枚ではありません。

名品は、ある日ふいに、たいてい一度きり市場に現れます。そのときに「どなたが探しているか」を私が知らなければ、せっかく現れた一枚も見送るしかありません。

先にご希望を伺っておけたときに初めて、「あの方のための一枚だ」と気づいて確保し、ご連絡できます。

「この絵を探してほしい」

そのひと声を、どうぞお気軽にお聞かせください。ご相談は無料です。しつこい営業はいたしません。

この作品の専属お探しのご相談はこちらから

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作品のご不明点や額装のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

この作品はすぐに購入できますか?

いいえ。本作は在庫ではなく『専属お探し』作品です。ご希望を伺ってからお探しし、見つかり次第、状態と価格をご連絡します。数ヶ月以上かかる場合や、見つからない場合もあります。ご相談・お見積もりまでは無料です。

サインは作家の直筆ですか?

個体により異なりますので、確保した時点で種別をお伝えします。本作の版が記録されているのは1998年で、リャドが世を去った5年後にあたります。そのため流通している個体には、サインが『夫人サイン』と記録されているものがあります。

『光と影』はどんな画題ですか?

深い木立の奥にある古い石壁とアーチが、まばゆい光に照らされた風景です。画寸は71cm角、四方が鮮やかな青の帯で縁どられており、四方を色で塗りつぶして中央に主題を描く構図は、リャドの代表的な作風のひとつとして知られています。

額装は変更できますか?

はい。お迎えの際はあなた専用の新品額装でご用意し、額装のご相談も承っております。本記事では、この作品に合う3パターンをご提案しています。